
従業員の給与を初めて払う際の手続き
目次
締め日の処理を行う
期限: 給与の締日
毎月の締日に出勤簿やタイムカードを締め切り、その月の勤務時間、出勤日数などを集計します。
出勤簿やタイムカードを締め切る
残業や休日出勤などが発生している場合は、割増賃金などに注意しながら各従業員の出勤状況を確認しましょう。
また、タイムカードの押し忘れなどは、この段階ですみやかに確認を行います。
給与計算を行い、支払いの準備をする
期限: 給与支払日の5日前
残業や休日出勤による割増賃金や、社会保険料、雇用保険料などの控除を踏まえ給与計算を行います。
割増賃金の確認・計算をする
残業や休日出勤による割増賃金を計算し、通勤手当を加算して総支給額を算出します。
労働基準法により、時間外労働(※)による時間外手当は2.5割増し以上、法定休日勤務手当は3.5割増し以上および深夜勤務手当は2.5割増し以上で計算します。※時間外労働
1日8時間、1週40時間を超えた部分の労働を「時間外労働」といいます。社員に時間外労働をさせるためには、事前に労使間で取り決め(36協定)を行い、労働基準監督署に届け出て、就業規則に明示することが必要です。
社会保険料を控除する
【社会保険に加入している場合】
標準報酬月額(※)に保険料率を乗じ、保険料を求めます。
保険料率は、加入している健康組合の保険料率表をご確認ください。
例:全国健康保険協会(協会けんぽ)の場合は、各都道府県の保険料率表から確認できます。
「健康保険・厚生年金保険の保険料額表」の一番上に表記された数字(「全額」「折半額」の上に書かれたXX.XX%で表記されている数字)が保険料率です。
社会保険料は会社と従業員で折半するので、「標準報酬月額にそれぞれの保険料率を乗じて1/2した金額」を給与から徴収します。
(40歳以上65歳未満の社員(またはその被扶養者)は介護保険料も発生します)※標準報酬月額
社会保険では、納める保険料の額を決定したり保険給付の額を決定したりする際、計算の元になる数字として給料そのものの金額ではなく、 給与額を大まかにグループ分けをした「標準報酬月額」を用います。
具体的な数字は都道府県別・標準報酬月額表 | 株式会社セルズよりご参照ください。
雇用保険料を控除する
【雇用保険に加入している場合】
雇用保険料は、(給与金額+通勤手当)の金額に0.5%をかけた金額となります。
(建設業や農林水産業は料率が異なります)
詳細は雇用保険料率について |厚生労働省をご参照ください。
所得税を控除する
給与から控除する所得税額は、社会保険料や雇用保険料等を控除した金額を元に計算します。
1ヶ月ごとに給与を支払う場合は、「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」を使用します。
令和3年分 源泉徴収税額表|国税庁
住民税を控除する
【住民税の特別徴収を行っている場合】
住民税の金額は前年の収入によって決まるため、控除する金額は各社員の居住する市区町村から届く「特別徴収税額通知書」を確認してください。
給与の支払いを行い、必要書類を作成する
期限: 給与支払日
従業員の給与は支払日に確実に支払われるよう処理を行いましょう。
併せて給与明細の作成や賃金台帳への記録を行います。
給与の支払いをする
これまでのタスクで計算した控除額を引いた金額を従業員へ支払います。 一般的には銀行振込が多いため、銀行の指定日までに手続きを完了させましょう。
給与支払実績を賃金台帳に記入する
給与の支払い実績は、各従業員について賃金台帳に記入しておきましょう。
給与支払明細書を作成する
給与支払明細書を作成し、従業員に配布します。
社会保険料を確認し納付する
期限: 給与支払月の翌月末
毎月、年金事務所から送付される納入告知書(納付書)を持参の上、給与支払月の翌月末までに社会保険料を金融機関に納付します。
社会保険料を納付する
納付書の記載に従い、従業員から預かった社会保険料と事業者負担分の社会保険料を合わせて金融機関に納付します。
なお、年金事務所等から郵送される口座自動引落しを申し込みすると納付手続が楽になります。
所得税を確認し納付する
期限: 給与支払月の翌月10日まで、もしくは納期の特例の承認を受けた場合の期日
従業員の給与から控除した所得税は所定の期限までに金融機関で納付します。
納付期限を確認する
納付期日については、源泉所得税の納期の特例の承認(※)を受けているかどうかで変わります。
①源泉所得税の納期の特例の承認を受けていない場合 →給与支払月の翌月10日までに納付。
②源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書を提出している場合 →1~6月の源泉所得税を7月10日までに、7~12月の源泉所得税を翌年1月20日までに納付。※源泉所得税の納期の特例の承認
給与の支払者が10名未満の場合に、源泉所得税の納付を半年ごとにできるという特例の申請です。こちらの申請を行うことにより、事務手続きの軽減になります。 詳細は源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請|国税庁をご参照ください。
給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書を作成する
税務署から「給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書」を取得し納付金額を記載しましょう。
詳細は所得税徴収高計算書(納付書)の記載のしかた|国税庁をご確認ください。
所得税を納付する
作成した「給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書」を持って金融機関にて納付を行います。