
会社を移転する【管轄外移転】
目次
今回は、会社を移転する際に必要となる手続きについてご紹介いたします。
前回、こちらの記事で『会社を移転する【管轄内移転】』についてご紹介いたしましたので、
今回は管轄外の移転について必要な手続きや注意すべきポイントなどを詳しく解説いたします。
管轄外の本店移転とは
管轄外への本店移転とは、これまで手続きをしていた法務局の管轄外に本店所在地を移転することです。
例えば、本店所在地を東京都千代田区から神奈川県横浜市に移転する場合には、管轄する法務局は「東京法務局」から「横浜地方法務局(本局)」に変わります。このような本店移転を管轄外への本店移転と言います。
また、東京都内でも、本店所在地を千代田区から品川区に移転する場合には、管轄する法務局は「東京法務局」から「品川出張所」に変わるため、管轄外への本店移転になります。
新しいオフィスを探して引越の準備をする
期限:適宜(目安としては移転日の3ヶ月前)
オフィスの移転が決定したら、すぐに始めるべき準備がたくさんあります。物件探しを始める前に、準備にかかる期間を細かく見ていきましょう。
物件を探して契約する
理想のサイズや立地のオフィスを探すのは大変です、移転が決まったら早めに物件探しを始める必要があります。 個人用マンションをオフィスに利用する場合、事前に「事務所利用が可能か」「法人登記が可能か」を不動産会社に確認しましょう。
賃貸借契約の中途解約を申し入れる
現在のオフィス契約の解除をビルのオーナーや管理会社に予告します。まずは契約書に書いてある解約予告期間を確認してください。管理会社によって異なりますが、一般的には3か月〜6か月前には解約希望日を提出する必要があります。
移転理由が契約の満了であっても、ビルによっては自動更新されている場合があるためご注意ください。契約の期間内に解約すると、引越し後も解約予告として必要だった期間の賃料を払い続けることになります。契約の内容によっては違約金が発生することもあるため、移転を検討し始めたら、まずは解約予告期間を確認しましょう。
引っ越し業者を手配する
数社見積を比較して選択しましょう。引っ越しの多い月末月初を避けると値引き交渉がしやすいようです。
電気・ガス・水道など公共料金の住所変更の手続きを行う
名前や引越し先の住所などを登録することで、電気・ガス・水道など公共料金の住所変更手続きやNHK、クレジットカード、損害保険等々、主要な企業の住所変更を一括で行うことができる便利なサービスもあるので活用しましょう。「引越し連絡帳」
電話・インターネット回線の切り替えを行う
電話やインターネット回線の工事などは混雑していると数週間かかってしまうこともあります。早めに確認しておきましょう。
郵便局に転居届を出す
インターネットからも手続きが可能です。
https://welcometown.post.japanpost.jp/etn/
会社住所を変更し、お知らせする
期限:移転の2週間前
移転の準備に気を取られていると忘れてしまいがちな項目です。後で慌てないためにも事前に確認しておきましょう。
名刺を新しい住所で印刷する
移転後も営業などすぐに名刺を渡す機会はあります、名刺は余裕を持って用意しておきましょう。
移転案内を送付する
送付するのは1週間前ですが、宛先リストの作成や印刷など意外に時間がかかるため、早めにとりかかりましょう。 もともとは封書やハガキなどで送るのが一般的でしたが、最近ではメールでの案内も増えているようです。
ホームページの住所情報を更新する
移転が完了したらすみやかに自社ホームページの住所情報を更新しましょう。 併せて会社で登録している各種WEBサービスの住所変更も忘れずに行いましょう。
株主総会(社員総会)で決議を行い、定款を変更する
期限:移転の1週間前
株主総会(社員総会)を開催して、本店所在地の移転先および移転時期を決意し、定款に記載されている本店所在地を変更します。
株主総会(社員総会)で決議を行う
株主総会(社員総会)を行い、移転先の所在場所および移転日等を決定します。本店所在地を変更するには株主総会による決議が必要です。合同会社の場合は社員全員の同意が必要です。
注)定款で本店所在地の市区町村以下を定めていない場合は、株主総会ではなく取締役の過半数の一致(取締役会を設置している場合は取締役会の決議)で変更可能です。
株主総会議事録(総社員の同意書)を作成する
株式会社の場合は「株主総会議事録」、合同会社の場合は「総社員の同意書」を作成しましょう。
テンプレートと記載例をダウンロードできます。リンク先で書類名をブラウザー検索すると便利です。
※「株式会社本店移転登記申請書(管轄登記所内移転)」に「株主総会議事録」のテンプレートが含まれています。
※「総社員の同意書」のテンプレートについては、法務局へご確認ください。
定款の変更を行う
定款に記載されている本店所在地の変更を行い、最新版のファイルを保存しておきましょう。
注)監督官庁の許認可が必要な事業(投資助言業など)監督官庁に対し変更後の定款内容の届出が必要です。
法務局に必要な書類を作成して提出する
期限:移転から2週間以内
本社移転の場合は、登記事項が変更されることから定款などについても変更の申請の手続きが必要です。複雑な作業となるため、手順を確認し抜け漏れのないようにしましょう。
本店移転登記申請書(新・旧管轄用)を作成する
旧本店所在地の法務局と新所在地の法務局へ申請するために2件の「本店移転登記申請書」を作成します。
テンプレートと記載例をダウンロードできます。リンク先で書類名をブラウザー検索すると便利です。
※合同会社の「本店移転登記申請書」のテンプレートについては、法務局へご確認ください。
取締役(業務執行社員)の過半数の一致を証する書面を作成する
株式会社の場合は「取締役の過半数の一致を証する書面(取締役会設置会社の場合は取締役会議事録)」、合同会社の場合は「業務執行社員の過半数の一致があったことを証する書面」を作成しましょう。
テンプレートと記載例をダウンロードできます。リンク先で書類名をブラウザー検索すると便利です。
※「株式会社本店移転登記申請書(管轄登記所内移転)」に「取締役の過半数の一致を証する書面(取締役会を設置しない会社の場合)」 のテンプレートが含まれています。
※「業務執行社員の過半数の一致があったことを証する書面」については、法務局へご確認ください。
印鑑(改印)届書 を作成する
管轄外の法務局へ本店移転する場合は、新本店に対して改めて「印鑑(改印)届書 」を作成しましょう。
テンプレートをダウンロードできます。リンク先で書類名をブラウザー検索すると便利です。
法務局(旧管轄)に申請する
「本店移転登記申請書」を提出します。 管轄外移転の場合は、新管轄への申請分も旧管轄の法務局で併せて行います。 登記費用は新・旧管轄合わせて¥60,000です。 (旧管轄、新管轄の申請書を作成し、それぞれに30,000円の収入印紙を貼付します)
<提出書類>
・本店移転登記申請書(旧管轄用)
・本店移転登記申請書(新管轄用)
・印鑑(改印)届書
<添付書類>
【株式会社の場合】
・株主総会議事録
・取締役の過半数の一致を証する書面(取締役会設置会社の場合は取締役会議事録)
・株主リスト(詳細はこちらをご確認ください)
【合同会社の場合】
・総社員の同意書
・業務執行社員の過半数の一致があったことを証する書面
新住所で印鑑カードを取得する
期限: 登記申請から1週間程度
必須の移転手続きではありませんが、いずれ印鑑証明を取得する際などに必要となるため、忘れないように申請しておきましょう。
印鑑カード交付申請書を作成する
「印鑑カード交付申請書」を作成します。
法務局の管轄が変わる移転の場合は、移転後の管轄の法務局で新しい印鑑カードを発行してもらう必要があります。
テンプレートと記載例をダウンロードできます。リンク先で書類名をブラウザー検索すると便利です。
法務局(新管轄)に申請する
「印鑑カード交付申請書」を移転先の新管轄の法務局に申請して、カードを取得しましょう。
<提出書類>
・印鑑カード交付申請書
新住所で登録された登記簿謄本を取得する
期限: 登記変更後すみやかに
税務署や年金事務所などの手続きに、添付書類として新しい住所の「登記簿謄本」が必要です。
新しい登記簿謄本を取得する
登記簿謄本を取得しましょう。法務局に直接取りに行くか、オンラインで取得請求することも可能です。
登記簿を取得する
税務署に必要な書類を作成して提出する
期限: 登記変更後すみやかに
法人税に関係する「異動事項に関する届出」、消費税に関係する「消費税異動届出書」、源泉徴収などに関係する「給与支払事務所等の移転届出書」を作成し、移転前の管轄税務署に提出します。
異動届を作成する
法人税を管理する税務署に対して、住所の変更があったという事実を報告する必要があります。移転前の管轄税務署に提出するための「異動届」を作成します。
テンプレートをダウンロードできます。リンク先で書類名をブラウザー検索すると便利です。
消費税異動届出書を作成する
税務署に対して住所の変更があったという事実を報告する必要があります。移転前の管轄税務署に提出するための「消費税異動届出書」を作成します。
テンプレートをダウンロードできます。リンク先で書類名をブラウザー検索すると便利です。
給与支払事務所等の移転届出書を作成する
給与の支払者が、国内において給与等の支払事務を取り扱う事務所等を移転した場合には、その旨を所轄税務署長に対して届け出る必要があります。
移転前の管轄税務署に提出するための「給与支払事務所等の移転届出書」を作成します。
テンプレートをダウンロードできます。リンク先で書類名をブラウザー検索すると便利です。
税務署(旧管轄)へ異動事項に関する届出をする
以下の書類を移転前の旧管轄の税務署に提出します。
<提出書類>
・異動届
・消費税異動届出書
・給与支払事務所等の移転届出書
<添付書類>
・本店移転後の登記簿謄本(コピー可)
都道府県税事務所、市区町村に必要な資料を作成して提出する
期限: 自治体の定めによる
都道府県税事務所と市区町村へ異動に関する手続きを行います。異動事項に関する届出や届出の期限は、都道府県や市町村によって異なります。管轄の都道府県税事務所や市町村へ事前に確認してください。
異動届を作成する(都道府県税事務所用、市区町村用)
都道府県税事務所と市区町村へ移転の申請をするために、異動届を作成します。書類の名称は都道府県によって異なるため、自治体のホームページなどで調べましょう。
都道府県税事務所、市区町村へ移転の申請を行う(旧管轄)
移転前の各都道府県税事務所に「異動届」を持参または郵送して提出します。法人市民税の関係で都道府県税事務所と同様に市区町村にも「異動届」を持参または郵送して提出します。
異動事項に関する届出や届出の期限は、都道府県や市町村によって異なります。管轄の都道府県税事務所や市区町村へ事前に確認してください。
注)東京都内での移転であれば、都税事務所間の連携があるため、新旧いずれかの都税事務所に申請すればOKです。
<提出書類>
・異動届(都道府県税事務所用、市区町村用)
<添付書類>
・本店移転後の登記簿謄本(コピー可)
都道府県税事務所、市区町村へ移転の申請を行う(新管轄)
移転後の各都道府県税事務所に「異動届」を持参または郵送して提出します。法人市民税の関係で都道府県税事務所と同様に市区町村にも「異動届出書」を持参または郵送して提出します。
異動事項に関する届出や届出の期限は、都道府県や市区町村によって異なります。管轄の都道府県税事務所や市町村へ事前に確認してください。
注)東京都内での移転であれば、都税事務所間の連携があるため、新旧いずれかの都税事務所に申請すればOKです。
<提出書類>
・異動届(都道府県税事務所用、市区町村用)
<添付書類> ・本店移転後の登記簿謄本(コピー可)
年金事務所に必要な資料を作成して提出する
期限: 移転から5日以内
社会保険料(狭義)の関係で、年金事務所にも「健康保険・厚生年金保険適用事業所所在地名称・名称変更届」という異動手続きが必要です。
健康保険・厚生年金保険適用事業所所在地・名称変更届を作成する
「健康保険・厚生年金保険適用事業所所在地・名称変更(訂正)届」を作成します。
テンプレートと記載例をダウンロードできます。
年金事務所(旧管轄)へ届出する
移転前の管轄の年金事務所へ「健康保険・厚生年金保険適用事業所所在地・名称変更(訂正)届」を提出します。
<提出書類>
・健康保険・厚生年金保険適用事業所所在地・名称変更(訂正)届
<添付書類>
・本店移転後の登記簿謄本(コピー可)
労働基準監督署に必要な資料を作成して提出する
期限: 移転の翌日から10日以内
労災保険の関係で、労働基準監督署に「労働保険名称、所在地等変更届」を提出します。添付書類として、「登記簿謄本(登記事項全部証明書)」が必要になる場合があります。管轄の労働基準監督署にお問い合わせください。
労働保険名称、所在地等変更届を作成する
「労働保険名称、所在地等変更届」は複写式の特殊な用紙であるため、労働基準監督署より取り寄せて(または、労働基準監督署に出向いて)、必要事項を記入しましょう。
労働基準監督署(新管轄)に届出する
移転後の新管轄の労働基準監督署に「労働保険名称、所在地等変更届」を提出します。
<提出書類>
・労働保険名称、所在地等変更届
<添付書類>
・本店移転後の登記簿謄本(コピー可)
ハローワークに必要な資料を作成して提出する
期限: 移転の翌日から10日以内
雇用保険の関係で、公共職業安定所(ハローワーク)に「雇用保険事業主事業所各種変更届」を提出します。
「雇用保険事業主事業所各種変更届」を作成する
「雇用保険事業主事業所各種変更届」を作成しましょう。
テンプレーをダウンロードできます。
テンプレート(役所サイト)
ハローワーク(新管轄)に届出する
移転後の新管轄のハローワークに「雇用保険事業主事業所各種変更届」を持参または郵送して提出します。
<提出書類>
・雇用保険事業主事業所各種変更届
<添付書類>
・本店移転後の登記簿謄本(コピー可)
従業員が居住している市区町村へ所在地変更の届出をする
期限: 移転後すみやかに
【住民税を特別徴収している従業員のみ】
住民税を特別徴収している従業員が居住している市区町村へ特別徴収義務者の所在地・名称等変更届出書を届出します。
特別徴収義務者の所在地・名称等変更届出書を作成する
特別徴収義務者の所在地・名称等変更届出書を作成しましょう。書式は市区町村によって異なります。住民税を特別徴収している従業員が居住している市区町村のホームページを調べるなどして確認してください。
市区町村に提出する
住民税を特別徴収している従業員が居住している市区町村へ「特別徴収義務者の所在地・名称等変更届出書」を提出します。
提出方法は市区町村によって異なるため、住民税を特別徴収している従業員が居住している市区町村のホームページを調べるなどして確認してください。
認可先に必要な資料を作成して提出する
【許認可事業を行っている場合】
許認可が必要な事業を行っている場合は、許認可先へ「異動届」または「変更届」を提出する必要があります。
届出書類を準備する
届出資料(「異動届」または「変更届」)は、認可先によって異なるため、各認可先へお問い合わせください。
認可先へ提出する
提出方法は、認可先によって異なるため、各認可先へお問い合わせください。
関係者各所の住所変更手続きを行う
期限: 移転後すみやかに
特に銀行やクレジットカードなどお金に関わるサービスの住所変更の手続きは忘れずに行いましょう。
銀行、クレジットカード、その他サービスの住所変更手続きを行う
銀行、クレジットカードなど、利用しているサービスの提供元に住所変更の届出を行いましょう。
従業員の通勤手当を見直す
期限: 移転当月
【従業員に通勤手当を支給している場合】
通勤手当を変更する
従業員に通勤手当を支給している場合は、その見直しを行います。定期の場合、どのように取り扱うかなどは事前に決めて従業員にお知らせしましょう。
おわりに
最後までお読みいただきありがとうございました。少しでもお役立ていただけましたら大変幸いです。
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