
会社名を変更する
目次
本記事では、会社名の変更(商号変更)の登記申請について、登記申請書内に記載する「登記すべき事項」の書き方について解説します。
書類に一か所でも不備があると申請は通りませんので、ご自身で書類を作成をする際は、この記事をぜひ参考に書き方をチェックしておきましょう!
新しい会社名を決める
期限:適宜
会社の商号は、会社の定款に定めることになっています。そのため,商号を変更するには定款変更が必要になります。また、商号を変更するにあたっては、株主総会(社員総会)にて決定します。
会社名(商号)を見直す
会社名を決める際には、商号における決まり事を守る必要があります。
例えば、
・商号に使用できる文字には制限がある (※詳細はこちらをご確認ください。)
・同一の住所(本店所在場所)に同じ会社名(商号)は使用できない
・会社名(商号)の中に必ず「株式会社」や「合同会社」の文字を入れる
などの決まり事がありますので、調べておきましょう。
会社名(商号)を考えるヒントとしては、「覚えやすく、説明しやすい商号にする」「会社のコンセプトのイメージに合う名称を考える」などがあります。なかなか自分で社名を決められないときは、コンペで公募するのも一つの手段です。
商号調査を行う
同一住所に同じ商号がある場合には、登記ができません。会社が一軒家や、自社ビルである場合などには問題ありませんが、他に多くの会社が存在するような大型商業施設等のテナントに入っている場合には、念のため事前に商号調査を行っておきましょう。
商号を調査する方法には2種類あります。
1)管轄する法務局で調査する
登記する所在地を管轄する法務局で商号調査簿を閲覧できます。
商号調査ができるコンピューターを利用するか、窓口に閲覧申請書を提出して閲覧します。
2)インターネットで調査する方法
登記情報提供サービスこちらのサイトを利用すれば、インターネット上で登記情報を閲覧することができます。(会員登録が必要です)
商標登録の調査を行う
社名を商標(ブランド)として使用されることを考えている場合は、考えた社名がすでに商標登録されていないかを確認しましょう。こちらのサイトにて登録商標の検索ができます。
ドメインが取得ができるか調べる
【ドメインを取得する場合】
ホームページやメールアドレスを作るため必要となるドメインが取れるかどうかも、インターネットで検索して確認しておきましょう。
株主総会(社員総会)で決議を行い、定款を変更する
期限:適宜
社名は定款の記載事項であるため、変更する場合には株主総会における特別決議が必要になります。
株主総会(社員総会)で決議を行う
臨時株主総会を開催し、特別決議によって商号についての定款規定を変更します。
特別決議は、株式会社の場合は発行済議決権株式の総数の3分の2以上の賛成により成立します。合同会社の場合は社員全員の同意が必要です。 決議が成立すると定款変更の効力が発生します。
株主総会議事録(総社員の同意書)を作成する
株式会社の場合は「株主総会議事録」、合同会社の場合は「総社員の同意書」を作成しましょう。テンプレートと記載例をダウンロードできます。リンク先で書類名をブラウザー検索すると便利です。
※株式会社の場合は「株式会社変更登記申請書(商号の変更)」に株主総会議事録のテンプレートが含まれています。
※合同会社の場合は、法務局にご確認ください。
定款の変更を行う
定款に記載されている商号の変更を行い、最新版のファイルを保存しておきましょう。
新たな会社名でロゴ、法人印鑑を作成する
期限:適宜
社名変更にともない、新たな会社名でロゴや法人印鑑を作成しましょう。
新社名のロゴを作成する
新しい社名が決まったら、ロゴの作成を検討しましょう。 クラウドソーシングなどでプロの方にお安く発注することも可能です。
新社名の法人印を作成する
社名変更にともない、新社名の法人印を作成しましょう。
法務局に必要な書類を作成して提出する
期限: 決議から2週間以内
株主総会(社員総会)で商号変更の決議が可決された場合には2週間以内に登記が必要です。
登記申請書(商号の変更)を作成する
登記申請書(商号の変更)(株式会社の場合は「株式会社変更登記申請書」、合同会社の場合は「合同会社変更登記申請書」)を作成しましょう。
テンプレートと記載例をダウンロードできます。リンク先で書類名をブラウザー検索すると便利です。
※合同会社の場合は、法務局にご確認ください。
印鑑(改印)届書を作成する
新社名の法人印で改めて印鑑の届出をしましょう。
「印鑑(改印)届書」を作成します。
テンプレートをダウンロードできます。リンク先で書類名をブラウザー検索すると便利です。
法務局に申請する
「登記申請書(商号の変更)」を提出します。 登記費用は¥30,000です。
<提出書類>
【株式会社の場合】
・株式会社変更登記申請書
・印鑑(改印)届書
・印鑑証明書(個人実印)
【合同会社の場合】
・合同会社変更登記申請書
・印鑑(改印)届書
<添付書類>
【株式会社の場合】
・株主総会議事録
・株主リスト(詳細はこちらをご確認ください)
・印鑑証明書(個人実印)
【合同会社の場合】
・総社員の同意書
・印鑑証明書(個人実印)
※改印手続に際しては,印鑑届出者(代表取締役等)の登記簿上の住所と改印届書に添付する市区町村発行の印鑑証明書上の住所が相違する場合は,印鑑届出者(代表取締役等)の住所変更の登記申請を事前若しくは同時にしていただく必要があります。
新しい会社名で印鑑カードを取得する
期限: 登記申請から1週間程度
必須の手続きではありませんが、いずれ印鑑証明を取得する際などに必要となるため、忘れないように申請しておきましょう。
印鑑カード交付申請書を作成する
「印鑑カード交付申請書」を作成します。
テンプレートと記載例をダウンロードできます。リンク先で書類名をブラウザー検索すると便利です。
法務局に申請する
「印鑑カード交付申請書」を管轄の法務局に申請して、カードを取得しましょう。
<提出書類>
・印鑑カード交付申請書
<添付資料>
原則として不要
新しい会社名で登録された登記簿謄本を取得する
期限:適宜
税務署や年金事務所などの手続きに、添付書類として新しい会社名の「登記簿等本」が必要です。
新しい登記簿謄本を取得する
登記簿謄本を取得しましょう。法務局に直接取りに行くか、オンラインで取得請求することも可能です。
税務署に必要な書類を作成して提出する
期限: 変更登記後すみやかに
法人税に関係する「異動事項に関する届出」、消費税に関係する「消費税異動届出書」、源泉徴収などに関係する「給与支払事務所等の移転届出書」を作成し、管轄税務署に提出します。
異動届を作成する
法人税を管理する税務署に対して、社名変更があったという事実を報告する必要があります。管轄税務署に提出するための「異動届」を作成します。
テンプレートをダウンロードできます。リンク先で書類名をブラウザー検索すると便利です。
給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出を作成する
給与支払事務所等の名称の変更などした場合には、その旨を所轄税務署長に対して届け出る必要があります。
管轄税務署に提出するための「給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出」を作成します。
テンプレートをダウンロードできます。リンク先で書類名をブラウザー検索すると便利です。
消費税異動届出書を作成する
税務署に対して会社名の変更があったという事実を報告する必要があります。管轄税務署に提出するための「消費税異動届出書」を作成します。
テンプレートをダウンロードできます。リンク先で書類名をブラウザー検索すると便利です。
税務署へ異動事項に関する届出をする
以下の書類を管轄の税務署に提出します。
<提出書類>
・異動届
・給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出
・消費税異動届出書
<添付書類>
・社名変更後の登記簿謄本(コピー可)
都道府県税事務所、市区町村に必要な資料を作成して提出する
期限: 自治体の定めによる
都道府県税事務所と市区町村へ社名変更に関する手続きを行います。
届出や届出の期限は、都道府県や市町村によって異なります。
管轄の都道府県税事務所や市町村へ事前に確認してください。
異動届を作成する(県税事務所用、市区町村用)
都道府県税事務所と市区町村へ社名変更の申請をするために、異動届を作成します。書類の名称は都道府県によって異なるため、自治体のホームページなどで調べましょう。
都道府県税事務所、市区町村へ移転の申請を行う
各都道府県税事務所に「異動届」を持参または郵送して提出します。都道府県税事務所と同様に市区町村にも「異動届」を持参または郵送して提出します。
異動届の名称や届出の期限は、都道府県や市区町村によって異なります。管轄の都道府県税事務所や市区町村へ事前に確認してください。
<提出書類>
・異動届(都道府県税事務所、市区町村用)
※東京23区の場合は市区町村への提出は不要です。
<添付書類>
社名変更後の登記簿謄本
年金事務所に必要な資料を作成して提出する
期限: 事実発生から5日以内
年金事務所にも「健康保険・厚生年金保険適用事業所所在地・名称変更(訂正)届」という社名変更手続きが必要です。
健康保険・厚生年金保険適用事業所所在地・名称変更(訂正)届を作成する
「健康保険・厚生年金保険適用事業所所在地・名称変更(訂正)届」を作成します。
テンプレートと記載例をダウンロードできます。リンク先で書類名をブラウザー検索すると便利です。
年金事務所に届出する
管轄の年金事務所へ「健康保険・厚生年金保険適用事業所所在地・名称変更(訂正)届」を提出します。
<提出書類>
・健康保険・厚生年金保険適用事業所所在地・名称変更(訂正)届
<添付書類>
・社名変更後の登記簿謄本(コピー可)
労働基準監督署に必要な資料を作成して提出する
期限: 社名変更の翌日から10日以内
管轄の労働基準監督署に「労働保険名称、所在地等変更届」を提出します。
添付書類として、「登記簿謄本(登記事項全部証明書)」が必要になる場合があります。
管轄の労働基準監督署にお問い合わせください。
労働保険名称、所在地等変更届を作成する
「労働保険名称、所在地等変更届」は複写式の特殊な用紙であるため、労働基準監督署より取り寄せて(または、労働基準監督署に出向いて)、必要事項を記入しましょう。
労働基準監督署に届出する
管轄の労働基準監督署またはハローワークに「労働保険名称、所在地等変更届」を提出します。
<提出書類>
労働保険名称、所在地等変更届
<添付書類>
社名変更後の登記簿謄本
ハローワークに必要な資料を作成して提出する
期限: 社名変更の翌日から10日以内
雇用保険の関係で、公共職業安定所(ハローワーク)に「雇用保険事業主事業所各種変更届」を提出します。
「雇用保険事業主事業所各種変更届」を作成する
「雇用保険事業主事業所各種変更届」を作成しましょう。
テンプレートをダウンロードできます。
ハローワークに届出する
管轄のハローワークに「雇用保険事業主事業所各種変更届」を持参または郵送して提出します。
<提出書類>
・雇用保険事業主事業所各種変更届
<添付書類>
・社名変更後の登記簿謄本
認可先に必要な資料を作成して提出する
期限: 社名変更後すみやかに
【許認可事業を行っている場合】
許認可が必要な事業を行っている場合は、許認可先へ「異動届」または「変更届」を提出する必要があります。
届出書類を準備する
届出資料(「異動届」または「変更届」)は、認可先によって異なるため、各認可先へお問い合わせください。
認可先へ提出する
提出方法は、認可先によって異なるため、各認可先へお問い合わせください。
関係者各所の名義変更手続きを行う
期限: 移転後すみやかに
特に銀行やクレジットカードなどお金に関わるサービスの社名変更の手続きは忘れずに行いましょう。
電気・ガス・水道など公共料金の名義変更の手続きを行う
電気・ガス・水道など公共料金の名義変更の手続きを行いましょう。 手続き方法については各お問い合わせ先にご確認ください。
銀行、クレジットカード、その他サービスの名義変更の手続きを行う
社名を変更した場合、銀行口座やクレジットカード契約の変更手続が必要となります。 取引先の銀行やクレジットカード会社にて申請手続等をご確認ください。
会社名を変更したことをお知らせする
期限: 社名変更後すみやかに
会社名の見直しに気を取られていると忘れてしまいがちな項目です。後で慌てないためにも事前に確認しておきましょう。
名刺を新しい住所で印刷する
社名変更後も営業などすぐに名刺を渡す機会はあります。 名刺は余裕を持って用意しておきましょう。
社名変更の案内を送付する
宛先リストの作成や印刷など意外に時間がかかるため、早めにとりかかりましょう。 もともとは封書やハガキなどで送るのが一般的でしたが、最近ではメールでの案内も増えているようです。
ホームページにて社名変更を告知する
社名の変更が決まったら、はやめにホームページで告知を行いましょう。 併せて会社で登録している各種WEBサービスの会社名変更も忘れずに行いましょう。
おわりに
最後までお読みいただきありがとうございました。少しでもお役立ていただけましたら大変幸いです。
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