
合同会社から株式会社へ変更する
目次
近年、合同会社の形態をとる法人が増えています。
合同会社は、2006年より新会社法で導入された比較的新しい形態で、会社の形態の1つです。設立が簡単で費用も抑えられるなどのメリットがありますので、起業にも適した会社形態とも言えます。
合同会社として設立した会社を、「株式」や「会社の信用度」、「組織拡大」など様々の理由で株式会社に変更するケースもあります。
では、合同会社を株式会社に変更する場合に必要な手続きにはどのようなものがあるのでしょうか?
今回の記事では、合同会社から株式会社への組織変更の必要な手続き・流れについて、みていきましょう!
1. 社員総会で組織変更の決議を行う
合同会社から株式会社に組織変更する事について、社員総会で総社員の同意を得ます。
総会後は必要な書類を作成します。
社員総会で決議を行う
合同会社から株式会社に組織変更する事について、社員総会で総社員の同意を得ます。
組織変更計画に関する総社員の同意書を作成する
法務局への書類申請のために組織変更計画に関する総社員の「同意書」を作成します。
テンプレートをダウンロードできます。
※「持分会社の組織変更(持分会社→株式会社)の登記申請書」に「同意書」のテンプレートが含まれています。
組織変更計画書を作成する
法務局への書類申請のために「組織変更計画書」を作成します。
テンプレートをダウンロードできます。
※「持分会社の組織変更(持分会社→株式会社)の登記申請書」に「組織変更計画書」のテンプレートが含まれています。
2. 組織変更に必要な事務を行う
社名変更や組織変更に関する事務処理を行います。
組織変更については一定期間、公告を行う必要がありますので余裕を持って対応しましょう。
新社名の法人印を作成する
社名変更にともない、新社名の法人印鑑を作成しましょう。
組織変更の公告を行う
定款で定めた下記いずれかの公告方法により組織変更の公告を行います。
- 官報の公告の場合は本店所在地の都道府県の官報公告取り扱い業者に依頼し、約25,000円の掲載料金となります。申込みから2週間程度後から掲載可能となります。
- 電子公告の場合は登記した電子公告のURLにて組織変更の公告を行います。電子公告を1ヶ月継続掲載していることを外部の電子公告調査証明サービスから調査証明書を取得する必要があります。
併せて、「公告をしたことを証する書面」を作成します。
テンプレートをダウンロードできます。
※「持分会社の組織変更(持分会社→株式会社)の登記申請書」に「公告をしたことを証する書面」のテンプレートが含まれています。
会社の債権者への個別通知を行う
公告の他に、組織変更決議時点の会社の債権者に対しては、「催告書」を作成し個別に組織変更に関する通知が必要です。
会社の公告方法が電子公告で、かつ官報による公告をした場合には債権者への個別の通知は省略することができます。
異議を述べた債権者がいないことを確認したのち、異議を述べた債権者はいない旨の「上申書」を作成します。
テンプレートをダウンロードできます。
※「持分会社の組織変更(持分会社→株式会社)の登記申請書」に「催告書」および「上申書」のテンプレートが含まれています。
3. 株主総会で決議を行う
株式会社へと組織変更するにあたり、代表取締役選任のための決議を行います。
代表取締役就任の決議を行う
株主総会を開催し、代表取締役選任のための決議を行います。
なお、組織変更計画で定められた効力発生日以降に臨時株主総会が開催される必要があります。
株主総会議事録を作成する
決議内容について「株主総会議事録」を作成します。
テンプレートをダウンロードできます。
※「持分会社の組織変更(持分会社→株式会社)の登記申請書」に「臨時株主総会議事録」のテンプレートが含まれています。
4. 法務局に必要な書類を作成して提出する
期限:債権者への告知開始後、1ヶ月経過したのち
債権者への告知を開始後、1ヶ月経過してから法務局への申請が可能となります。
申請においては、合同会社解散の登記と株式会社設立の登記を同時に行います。
併せて印鑑届出書を作成し提出します。
登記申請書を作成する
合同会社の解散の登記申請書と株式会社の設立の登記申請書を作成します。
テンプレートをダウンロードできます。
※「持分会社の組織変更(持分会社→株式会社)の登記申請書」に「登記申請書」のテンプレートが含まれています。
就任承諾書を作成する
代表取締役および、必要に応じて取締役や監査役の「就任承諾書」を作成します。
テンプレートをダウンロードできます。
※「持分会社の組織変更(持分会社→株式会社)の登記申請書」に「就任承諾書」のテンプレートが含まれています。
登録免許税法施行規則第12条第4項の規定に関する証明書を作成する
株式会社へと組織変更する直前の資産や負債を証明するための「登録免許税法施行規則第12条第4項の規定に関する証明書」を作成します。
テンプレートをダウンロードできます。
※「持分会社の組織変更(持分会社→株式会社)の登記申請書」に「登録免許税法施行規則第12条第4項の規定に関する証明書」のテンプレートが含まれています。
印鑑(改印)届書を作成する
登記の申請書に押印すべき者は、あらかじめ(この申請と同時でも構いません。)登記所に印鑑を提出することとされています。
会社を代表すべき者の印鑑(会社実印)について、「印鑑(改印)届書」を提出する必要があります。
テンプレートをダウンロードできます。リンク先で書類名をブラウザー検索すると便利です。

法務局に申請する
作成した書類を添付書類とともに法務局に提出し、登記申請を行います。
<提出書類>
・登記申請書(合同会社の解散、株式会社の設立)
・印鑑(改印)届書
<添付書類>
・定款
・組織変更計画書
・組織変更計画に関する総社員の同意書
・臨時株主総会議事録
・就任承諾書
・本人確認証明書(運転免許証のコピー、住民票記載事項証明書など)
・公告をしたことを証する書面
・異議を述べた債権者はいない旨の「上申書」
・登録免許税法施行規則第12条第4項の規定に関する証明書
5. 印鑑カードを取得する
期限:変更登記後すみやかに
組織変更の登記完了後、新しい印鑑カードを交付します。
印鑑カード交付申請書を作成する
「印鑑カード交付申請書」を作成します。
テンプレートと記載例をダウンロードできます。リンク先で書類名をブラウザー検索すると便利です。
法務局(新管轄)に申請する
「印鑑カード交付申請書」を移転先の新管轄の法務局に申請して、カードを取得しましょう。
<提出書類>
・印鑑カード交付申請書
6. 登記簿謄本を取得する
登記後の税務署、年金事務所、ハローワーク等への届出に登記簿謄本の添付が必要となります。
新しい登記簿謄本を取得する
登記が完了したら新しい登記簿謄本を取得しましょう。 法務局に直接取りに行くか、オンラインで取得することも可能です。
7. 税務署に必要な書類を作成して提出する
期限:変更登記後すみやかに
組織変更について税務署に「異動届」を提出します。
異動届を作成する
変更事項に関して「異動届」を作成します。
テンプレートをダウンロードできます。

税務署に提出する
「異動届」を所轄の税務署に提出します。
<提出書類>
・異動届
<添付書類>
・組織変更後の登記簿謄本
8. 都道府県税事務所、市区町村に必要な資料を作成して提出する
期限:変更登記後すみやかに
都道府県税事務所および市区町村に、組織変更に関する「異動届」を提出します。
※東京23区の場合は市区町村への提出は不要です。
異動届を作成する(都道府県税事務所用、市区町村用)
都道府県税事務所と市区町村に組織変更に関する「異動届」を作成します。
書類の名称は都道府県によって異なるため、自治体のホームページなどで調べましょう。
都道府県税事務所、市区町村へ異動届を提出する
「異動届」を所轄の都道府県税事務所、市区町村に提出します。
(東京23区は市区町村への届出は不要です)
<提出書類>
・異動届(都道府県税事務所用、市区町村用)
<添付書類>
・組織変更後の登記簿謄本
9. 年金事務所に必要な書類を作成して提出する
期限:事実発生から5日以内
組織変更について所轄の年金事務所に届出を行います。
健康保険・厚生年金保険適用事業所所在地・名称変更届を作成する
「健康保険・厚生年金保険適用事業所所在地・名称変更(訂正)届」を作成します。
テンプレートと記載例をダウンロードできます。リンク先で書類名をブラウザー検索すると便利です。
年金事務所に提出する
所轄の年金事務所へ「健康保険・厚生年金保険適用事業所所在地・名称変更(訂正)届」を提出します。
<提出書類>
・健康保険・厚生年金保険適用事業所所在地・名称変更(訂正)届
<添付書類>
・組織変更後の登記簿謄本(コピー可)
10. 労働基準監督署に必要な書類を作成して提出する
期限: 組織変更の翌日から10日以内
【労働保険に加入している場合】
組織変更について所轄の年金事務所に届出を行います。
労働保険名称、所在地等変更届を作成する
「労働保険名称、所在地等変更届」は複写式の特殊な用紙であるため、労働基準監督署より取り寄せて(または、労働基準監督署に出向いて)、必要事項を記入しましょう。
労働基準監督署(新管轄)に届出する
所轄の労働基準監督署に「労働保険名称、所在地等変更届」を提出します。
<提出書類>
・労働保険名称、所在地等変更届
<添付書類>
・組織変更後の登記簿謄本(コピー可)
11. ハローワークに必要な資料を作成して提出する
期限: 組織変更の翌日から10日以内
【雇用保険に加入している場合】
公共職業安定所(ハローワーク)に「雇用保険事業主事業所各種変更届」を提出します。
雇用保険事業主事業所各種変更届を作成する
「雇用保険事業主事業所各種変更届」を作成します。
テンプレートをダウンロードできます。
ハローワークに提出する
所轄のハローワークに「雇用保険事業主事業所各種変更届」を持参または郵送して提出します。
<提出書類>
・雇用保険事業主事業所各種変更届
<添付書類>
・組織変更後の登記簿謄本(コピー可)
12. その他、関係各所に必要な届出を行う
期限: 組織変更後すみやかに
許認可事業を行っている場合は認可先への届出が必要となります。
また、光熱費の支払先や銀行などに名義変更の手続きを行いましょう。
【許認可事業を行っている場合】認可先への届出をする
許認可が必要な事業を行っている場合、認可先へ「異動届」又は「変更届」を提出する必要があります。
書式につきましては各認可先へお問い合わせください。
電気・ガス・水道など公共料金の名義変更の手続きを行う
電気・ガス・水道など公共料金の名義変更の手続きを行いましょう。
手続き方法については各お問い合わせ先にご確認ください。
関係各所へ名義変更の手続きをする(銀行/クレジットカートなど)
組織変更により社名した場合、銀行口座やクレジットカード契約の変更手続が必要となります。
取引先の銀行やクレジットカード会社にて申請手続等をご確認ください。
13. 組織変更に伴う社内事務や取引先などへのお知らせを行う
期限: 組織変更後すみやかに
組織変更により、名刺の変更や取引先などへのお知らせなど、必要な事務処理を行います。
名刺を新しい社名で印刷する
組織変更後も営業などすぐに名刺を渡す機会はあります。名刺は余裕を持って用意しておきましょう。
組織変更の案内を送付する
宛先リストの作成や印刷など意外に時間がかかるため、早めにとりかかりましょう。
もともとは封書やハガキなどで送るのが一般的でしたが、最近ではメールでの案内も増えているようです。
ホームページで組織変更を告知する
組織変更が決まったら、はやめにホームページで告知を行いましょう。
おわりに
最後までお読みいただきありがとうございました。少しでもお役立ていただけましたら大変幸いです。
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