
取締役会を設置する
目次
『取締役会』とは、取締役の執行の監督、代表取締役の選定、業務執行の意志決定などをおこなう機関です。
2006年に会社法が改正されてからは、取締役会の設置義務がなくなり、自由に決められるようになりました。
※ただし、公開会社、委員会設置会社、そして監査役会設置会社に関しては、取締役会の設置が義務付けられています。
取締役会を設置するメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。
- 業務執行の決定は取締役会ですることになるので、株主総会を開催する必要がなくなり、迅速に会社経営をすることができる
- 対外的に信用度が高まり、融資や取引において有利になる
- 公開会社の場合には、取締役会の設置は必須なので、公開会社を目指しているような会社では、移行がスムーズに行われる
- 取締役の競業取引と利益相反取引を行う場合の承認が株主総会ではなく、取締役会で済むようになる
上記より、信頼を得ながらスピード感も持って会社を大きくしていこうと考えている場合には、取締役会を設置した方が良いケースがあります。
また、設立当初は設置がなくても後に業績が伸び、新たに取締役会を設置する必要が出てくる場合もあります。
そこで今回の記事では、新たに取締役会を設置する際の手順と変更登記手続きについて、詳しく解説していきます。
1. 取締役会設置に必要な役員の追加や定款の変更箇所の確認を行う
期限:適宜
取締役会を設置するためには、取締役3名以上、監査役1名以上が必要となります。
また定款の内容も変更する必要があるため、あらかじめ確認を行いましょう。
新たな役員の候補者を選定する
取締役会設置に必要な取締役および監査役の人数を満たしていない場合は、追加役員の候補者を選定する必要があります。
定款の変更箇所を確認する
取締役会を設置のためには、取締役会を設置する旨や監査役を設置する旨など、現状の定款を変更する必要があります。
定款のどの部分を変更する必要があるのか、事前にご確認ください。
一般的な会社設立後のの定款を変更する場合の変更例については、こちらをご参照ください。
2. 株主総会で決議を行う
期限:適宜
株主総会を開催して、取締役会設置に関する決議を行います。
株主総会決議を行う
株主総会を開催し、定款の変更と役員の就任を決議します。
株主総会議事録を作成する
「株主総会議事録」を作成します。記載例はこちらをご参照下さい。
3. 法務局に必要な書類を作成して提出する
期限: 就任決議から2週間以内
新たな役員就任のための登記申請を行います。
株式会社変更登記申請書を作成する
「株式会社変更登記申請書」を作成します。記載例はこちらをご参照ください。
就任承諾書を作成する
新しい役員の「就任承諾書」を作成します。記載例はこちらをご参照ください。
法務局に登記申請をする
就任決議から2週間以内に管轄の法務局に変更登記申請書を提出します。
登記費用は資本金の額が1億円を超える場合は¥90,000、1億円以下の場合は¥70,000になります。
- 取締役会の設置(¥30,000)
- 監査役の設置(¥30,000)
- 役員の就任(資本金の額が1億円を超える場合¥30,000、1億円以下の場合¥10,000)
<添付書類>
- 株主総会議事録
- 就任承諾書
- 本人確認書類
※本人確認書類は、運転免許証等の両面をコピーの上、末尾に新任の役員が以下の通り原本証明をしてください。
「上記は、原本と相違ありません。 取締役 ●●● ㊞」
4. 変更事項が登記された登記簿謄本を取得する
期限:適宜
新しい登記内容の登記簿謄本を必要に応じて取得しましょう。
新しい登記簿謄本を取得する
登記簿謄本を取得しましょう。法務局に直接取りに行くか、オンラインで取得請求することも可能です。
5. 年金事務所に必要な資料を作成して提出する
期限: 入社後5日以内
【役員として入社する場合】
新たな役員として入社する場合は、社会保険の手続きを行う必要があります。
健康保険・厚生年金の概要・加入条件についてはこちらをご参照ください。
健康保険・厚生年金被保険者資格取得届を作成する
「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」を作成します。
テンプレートと記載例をダウンロードできます。リンク先で書類名をブラウザー検索すると便利です。
健康保険被扶養者(異動)届を作成する
【扶養家族がいる場合】
「健康保険被扶養者(異動)届」および「国民年金第3号被保険者資格取得・種別変更・種別確認(3号該当)届」を作成します。
テンプレートと記載例をダウンロードできます。
※国民年金第3号被保険者資格取得・種別変更・種別確認(3号該当)届は、健康保険被扶養者(異動)届の書式の中に含まれています。
年金事務所に届出する
管轄の年金事務所に「健康保険・厚生年金被保険者資格取得届」および、必要に応じて「健康保険被扶養者(異動)届」、「国民年金第3号被保険者資格取得・種別変更・種別確認(3号該当)届」を提出します。
<提出書類>
- 健康保険・厚生年金被保険者資格取得届
- 健康保険被扶養者(異動)届および国民年金第3号被保険者資格取得・種別変更・種別確認(3号該当)届(必要な場合)
<添付書類>
原則として不要
6. 役員が居住している市区町村へ住民税の届出をする
期限: 入社月の月内
【役員として入社する場合】
新たな役員として入社する場合で、住民税を特別徴収にする場合はこちらの手続きが必要です。
必要な書類を作成する
中途採用者で前職から「給与所得者異動届出書」を預かっている場合、必要事項を記入して入社者の市区町村へ提出します。 引き継がない場合には、「特別徴収切替申請書」に必要事項を記載し提出します。
書式は市区町村によって異なるため、詳細は各自治体のサイトなどをご確認ください。
市区町村に届出する
新任役員が居住している市区町村に「給与所得者異動届出書」または「特別徴収切替申請書」を提出します。
<提出書類>
・給与所得者異動届出書または特別徴収切替申請書
<添付書類>
原則として不要
7. ハローワークに必要な資料を作成して提出する
期限: 事実発生から10日以内
【従業員が役員に就任する場合】
役員は原則雇用保険に加入することが出来ません。
従って、今まで一般の従業員だった方が役員に就任する場合は雇用保険の脱退手続きを行います。
ただし、役員に就任する方が、使用人兼務役員である場合は雇用保険を継続適用できるかの判断の後、引き続き雇用保険に加入することが出来ます。
雇用保険被保険者資格喪失届を作成する
【雇用保険を脱退する場合】
役員は原則雇用保険に加入することが出来ません。 従って、今まで一般の従業員だった方が役員に就任する場合は「雇用保険被保険者資格喪失届」を作成します。
テンプレートをダウンロードできます。
兼務役員雇用実態証明書を作成する
【雇用保険を継続する場合】
役員に就任する方が、使用人兼務役員(※)である場合は、「兼務役員雇用実態証明書」を作成します。
※使用人兼務役員:役員のうち部長、課長、その他法人の使用人としての職制上の地位を有し、かつ、常時使用人としての職務に従事する者
テンプレートをダウンロードできます。テンプレート(役所サイト)
ハローワークに届出する
ハローワークに「雇用保険被保険者資格喪失届」または「兼務役員雇用実態証明書」を提出します。
<提出書類>
・雇用保険被保険者資格喪失届または兼務役員雇用実態証明書
<添付書類>
原則として不要
おわりに
最後までお読みいただきありがとうございました。少しでもお役立ていただけましたら大変幸いです。
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