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役員を交代する

会計事務所ハウツー

ユアメディア編集部 ユアメディア編集部

役員とは、会社法では「取締役・会計参与・監査役」と定義されています。

役員は企業の経営方針をたて、組織を作り、業務を監視し、会社全体の経営方針を決める役割を持ちます。

そんな会社の大事な役割を担う役員ですが、一度選ばれればその職務に永遠に就くというわけではありません。

取締役にも監査役にも、それぞれ任期(職務に就いている機関)があります。

任期が終わり、引き続き同じ人が取締役などになる場合には、「重任」の登記をしなければなりません。また、任期の途中で取締役などを辞める場合には「辞任」の登記が必要となります。

そして、任期が終わって退任する人、何らかの理由で解任される人もいますが、その際には「役員交代」が必要になります。

会社の法人登記の中でも特に頻度が多いのが「役員交代(役員変更)」に関する登記と言われています。

今回の記事では「役員交代」をするときの具体的な手続きをご紹介します!

1. 株主総会で決議を行い、退任する役員から辞任届けを受け取る

期限:適宜

株主総会を開催して、役員の交代に関する決議を行います。

(1)株主総会で決議を行う

役員の交代(辞任に伴う改選)について株主総会で決議します。

(2)株主総会議事録を作成する

株主総会議事録」を作成します。

テンプレートと記載例をダウンロードできます。リンク先で書類名をブラウザー検索すると便利です。

※「株式会社役員変更登記申請書(辞任等により新たな役員が就任した場合)」に「株主総会議事録」のテンプレートが含まれています。

テンプレート(役所サイト)

(3)辞任届を受け取る

退任する役員から「辞任届」を受け取ります。

テンプレートと記載例をダウンロードできます。リンク先で書類名をブラウザー検索すると便利です。

※「株式会社役員変更登記申請書(辞任等により新たな役員が就任した場合)」に「辞任届」のテンプレートが含まれています。

テンプレート(役所サイト)

2. 法務局に必要な書類を作成して提出する

期限: 交代した日から2週間以内

取締役が交代した場合は、旧役員の辞任および新役員の就任決議から2週間以内に本店所在地を管轄する法務局へ取締役変更の登記申請を行う必要があります。

株式会社役員変更登記申請書を作成する

株式会社役員変更登記申請書」を作成します。

テンプレートと記載例をダウンロードできます。リンク先で書類名をブラウザー検索すると便利です。

テンプレート(役所サイト)

就任承諾書を作成する

新しい役員の「就任承諾書」を作成します。

テンプレートと記載例をダウンロードできます。リンク先で書類名をブラウザー検索すると便利です。

※「株式会社役員変更登記申請書(辞任等により新たな役員が就任した場合)」に「就任承諾書」のテンプレートが含まれています。

テンプレート(役所サイト)

役員変更の登記申請を行う

作成した書類および添付書類を持参または郵送にて所轄の法務局に登記申請をします。
登記費用は資本金の額が1億円を超える場合は¥30,000、1億円以下の場合は¥10,000になります。

<提出書類>

  • 辞任届
  • 株主総会議事録
  • 就任承諾書(取締役会を設置していない会社の場合で、取締役が就任する場合には、個人の実印を押印する必要があります)
  • 印鑑証明書(取締役会を設置していない会社の場合)
  • 株主リスト(詳細はこちらをご確認ください)
  • 本人確認書類(取締役会を設置している会社の場合) ※ 

※本人確認書類は、運転免許証等の両面をコピーの上、末尾に新任の役員が以下のとおり原本証明をしてください。  

「上記は、原本と相違ありません。 取締役 ●●● ㊞」

3. 役員交代後の登記簿謄本を取得する

期限: 適宜

新しい登記内容の登記簿謄本を必要に応じて取得しましょう。

新しい登記簿謄本を取得する

登記簿謄本を取得しましょう。法務局に直接取りに行くか、オンラインで取得請求することも可能です。

登記簿を取得する

4. 年金事務所に必要な書類を作成して提出する(旧役員の退職)

期限: 退職日の翌日から5日以内

【旧役員が退職する場合】
旧役員の辞任にともない会社を退職する場合は社会保険の手続きを行う必要があります。

(1)健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届を作成する

健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届」を作成します。

テンプレートと記載例をダウンロードできます。リンク先で書類名をブラウザー検索すると便利です。

テンプレート(役所サイト)

(2)健康保険被保険者証滅失届を作成する

【健康保険被保険者証を紛失した場合】
健康保険被保険者証滅失届」を作成します。テンプレートと記載例をダウンロードできます。

テンプレート(役所サイト)

(3)被保険者証回収不能届を作成する

【何度督促しても保険証が回収できない場合】
被保険者証回収不能届」を作成します。テンプレートと記載例をダウンロードできます。

テンプレート(役所サイト)

(4)年金事務所に届出する

管轄の年金事務所に「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届」および、必要に応じて「健康保険被保険者証滅失届」、「被保険者証回収不能届」を提出します。

<提出書類>

  • 健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届
  • 健康保険被保険者証滅失届(必要な場合)
  • 被保険者証回収不能届(必要な場合)

<添付書類>

  • 健康保険被保険者証

5. 旧役員が居住している市区町村へ住民税の届出をする(旧役員の退職)

期限: 退職後すみやかに

【旧役員が退職する場合で、住民税の特別徴収を行っていた場合】

住民税の特別徴収に関するする手続きが必要となります。

(1)給与支払報告特別徴収に関する給与所得者異動届を作成する

給与支払報告特別徴収に関する給与所得者異動届」を作成します。
書式は市区町村ごとに異なるので、自治体のホームページなどで調べましょう。

(2)市区町村に届出する

退任する役員が居住している市区町村へ「給与支払報告特別徴収に関する給与所得者異動届」を提出します。

<提出書類>

  • 給与支払報告特別徴収に関する給与所得者異動届

<提出期限>

  • すでに住民税を源泉徴収している従業員が退職等した場合:退職日の翌月10日まで
  • 給与支払報告書を提出した従業員が4月1日までに退職等した場合:4月15日まで

6. 年金事務所に必要な書類を作成して提出する(新役員の入社)

期限: 入社後5日以内

【新役員が入社する場合】

新役員の就任にともない会社に入社する場合は社会保険の手続きを行う必要があります。

(1)健康保険・厚生年金被保険者資格取得届を作成する

健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」を作成します。

テンプレートと記載例をダウンロードできます。リンク先で書類名をブラウザー検索すると便利です。

テンプレート(役所サイト)

(2)健康保険被扶養者(異動)届を作成する

【扶養家族がいる場合】
健康保険被扶養者(異動)届」および「国民年金第3号被保険者資格取得・種別変更・種別確認(3号該当)届」を作成します。

テンプレートと記載例をダウンロードできます。
※国民年金第3号被保険者資格取得・種別変更・種別確認(3号該当)届は、健康保険被扶養者(異動)届の書式の中に含まれています。

テンプレート(役所サイト)

(3)年金事務所に届出する

管轄の年金事務所に「健康保険・厚生年金被保険者資格取得届」および、必要に応じて「健康保険被扶養者(異動)届」、「国民年金第3号被保険者資格取得・種別変更・種別確認(3号該当)届」を提出します。

<提出書類>

  • 健康保険・厚生年金被保険者資格取得届
  • 健康保険被扶養者(異動)届および国民年金第3号被保険者資格取得・種別変更・種別確認(3号該当)届(必要な場合)

<添付書類>
原則として不要

7. 新役員が居住している市区町村に住民税の届出をする(新役員の入社)

期限: 入社月の月内

【新役員が入社する場合】
会社で役員の住民税の特別徴収を実施している場合、手続きが必要となります。
中途採用者で前職から「給与所得者異動届出書」を預かっている場合、必要事項を記入して入社者の市区町村へ提出します。
引継がない場合には、「特別徴収切替申請書」に必要事項を記載し提出します。

(1)必要な書類を作成する

【前職から「給与所得者異動届出書」を預かっている場合】
給与所得者異動届出書」に必要事項を記入します。記載例は各自治体のサイトなどをご参照ください。

【前職から引継がない場合】
特別徴収切替申請書」を作成します。テンプレートおよび記載例は各自治体のサイトなどをご参照下さい。

(2)市区町村に届出する

市区町村に「給与所得者異動届出書」または「特別徴収切替申請書」を提出します。

<提出書類>

  • 給与所得者異動届出書(前職から引き継ぎがあった場合)
  • 特別徴収切替申請書(前職から引き継ぎがなかった場合)

<添付書類>

  • 普通徴収の納付書(特別徴収切替申請書を提出する場合)

8. ハローワークに必要な書類を作成して提出する

期限: 事実発生から10日以内

【従業員が役員に就任する場合】

役員は原則雇用保険に加入することが出来ません。従って、今まで一般の従業員だった方が役員に就任する場合は雇用保険の脱退の手続きをする必要があります。
ただし、 役員に就任する方が使用人兼務役員である場合は、一定の条件のもと引き続き雇用保険に加入することが可能です。

(1)雇用保険被保険者資格喪失届を作成する

【雇用保険を脱退する場合】

雇用保険被保険者資格喪失届」を作成します。

テンプレートをダウンロードできます。

テンプレート(役所サイト)

(2)兼務役員雇用実態証明書を作成する

使用人兼務役員となる場合
役員に就任する方が、使用人兼務役員(※)である場合は、「兼務役員雇用実態証明書」を提出することにより、雇用保険を継続適用できるかの判断の後、引き続き雇用保険に加入することが出来ます。

テンプレートをダウンロードできます。リンク先で書類名をブラウザー検索すると便利です。

※使用人兼務役員
役員のうち部長、課長、その他法人の使用人としての職制上の地位を有し、かつ、常時使用人としての職務に従事する者

テンプレート(役所サイト)

(3)ハローワークに提出する

作成した書類を所轄のハローワークに提出します。

<提出書類>

  • 雇用保険被保険者資格喪失届(雇用保険を脱退する場合)
  • 兼務役員雇用実態証明書(使用人兼務役員となる場合)

<添付書類>

  • 賃金台帳
  • 株主総会議事録
  • 就業規則
  • 役員報酬規程 など


※上記はすべて兼務役員雇用実態証明書を提出する場合の添付書類です。
※添付書類については所轄のハローワークでもご確認ください。

おわりに

最後までお読みいただきありがとうございました。少しでもお役立ていただけましたら大変幸いです。

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