【年収の壁とは?】令和7年以降の年収の壁について分かりやすく解説
目次
はじめに
「年収の壁」とは、給与所得者が支払う税金や社会保険料の負担が増える年収の目安のことを指します。
主婦・学生の方が働く際の収入に制限がかかるため、近年、この「年収の壁」が社会的な話題として取り上げられています。
そのような社会情勢の中、「令和7年度税制改正大綱」において、従来の「年収の壁」が引き上げられることが明記されました。
本記事では、税制改正による変更点を踏まえ、令和7年以降の「年収の壁」について解説いたします。
8つの年収の壁
年収の壁は、「税制上の壁」と「社会保険上の壁」の2種類があります。
今後、「税制上の壁」は6つ(110万円・123万円・150万・160万円・188万円・201万円)、「社会保険上の壁」は2つ(106万円・130万円)となり、これらを合わせて年収の壁は8つになる見込みです。
税制上の壁
①110万円の壁
年収110万円(※令和7年分まで100万円)は、住民税が課されるボーダーラインです。年収110万円以下であれば、住民税はかかりません。
令和7年改正により、住民税における給与所得控除の最低控除額が55万円から65万円に引き上げられるため、従来の「100万円の壁」から「110万円の壁」へ変更されます。
なお、自治体によって、住民税が課される年収の基準額が異なる場合があるので、お住まいの自治体の公式サイト等で基準額を確認することを推奨いたします。
②123万円の壁
年収123万円(※令和6年分まで103万円)は、所得税が課されるボーダーラインです。年収123万円以下であれば、所得税はかかりません。
令和7年改正により、給与所得者の基礎控除額が48万円から58万円に、さらに給与所得控除の最低控除額が55万円から65万円に引き上げられる事で、従来の「103万円の壁」から「123万円の壁」へ変更されます。
また、年収123万円を超えると、世帯主に適用される「配偶者控除」が「配偶者特別控除」に切り替わり、さらに「扶養控除」は適用されなくなります。
③150万円の壁
年収150万円は、特定親族特別控除(仮称)が満額(63万円)受けられず、減り始めるボーダーラインです。19歳以上23歳未満の特定親族の年収が増えるほど、世帯主の控除額が減っていくことになります。
なお、特定親族特別控除(仮称)は、令和7年改正により、従来の特定扶養控除が適用される要件(特定扶養親族の年収123万円以下)が緩和されて新たに設けられる控除です。
④160万円の壁
年収160万円(※令和6年分まで150万円)は、配偶者特別控除が満額受けられず、減り始めるボーダーラインです。配偶者の年収が増えるほど、世帯主の控除額が減っていくことになります。
令和7年改正により、配偶者本人の給与所得控除が10万円引き上げられる事で、従来の「150万円の壁」から「160万円の壁」へ変更されます。
⑤188万円の壁
年収188万円は、世帯主に特定親族特別控除(仮称)が適用されなくなるボーダーラインです。特定親族の年収が188万円を超えると、世帯主は特定親族特別控除(仮称)を受けることができなくなります。
⑥201万円の壁
年収201万円は、世帯主に配偶者特別控除が適用されなくなるボーダーラインです。配偶者の年収が201.6万円を超えると、世帯主は配偶者特別控除を受けることができなくなります。
社会保険上の壁
①106万円の壁
年収106万円は、条件を満たした場合に社会保険の加入義務が発生するボーダーラインです。
具体的には、従業員数が51人以上の企業で働く人が、次の4つの条件に該当した場合、社会保険の加入義務が生じます。
- 所定労働時間が週20時間以上
- 月額賃金が8.8万円以上(8万8000円×12ヶ月=105万6000円≒106万円)
※月収に残業代や交通費は含まない - 2ヶ月を超える雇用見込みがある
- 学生ではない
②130万円の壁
年収130万円は、強制的に社会保険の加入義務が発生するボーダーラインです。
年収130万円以上になると、社会保険の扶養から外れ、自身で社会保険に加入しなければいけなくなり、健康保険料・年金保険料の負担義務が生じます。
なお、この130万円の壁への対応として、2025年までの暫定的措置として、労働時間の増加により収入が一時的に上昇した場合には、事業主の証明があれば引き続き被扶養者として認定される仕組みが設けられています。
【参考:年収の壁・支援強化パッケージ】
おわりに
本記事では、今後の年収の壁に関する概要をお伝えしました。
年収の壁を超えると、自身の税金や社会保険料の負担が増えて結果的に手取りが減少したり、家族の控除額が減る事で家族全体の手取りに影響が出る場合があります。
そのため、年収を考える際には、自分だけでなく家族全体の収支や生活計画を視野に入れましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
少しでもお役立ていただけましたら幸いです。
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