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【令和8年度税制改正】グループ会社間取引の書類保存が厳格化!関連者間取引に係る書類の整理保存の特例について解説

税金・会計ニュース

ユアメディア編集部 ユアメディア編集部

関連会社やグループ会社間で役務提供やライセンス契約などを行っている法人の皆さま、取引時の「契約書」や「請求書・領収書」に対価の額を算定するために必要な事項(計算方法など)をしっかり記載していますか?

税制改正により、関連者(グループ会社等)との特定の取引において、契約書等に「対価の額を算定するために必要な事項」が記載されていない場合、その根拠を明らかにする「特定事項記載書類」を作成し、7年間保存することが義務付けられました。 

要件を満たしていない場合、青色申告の取消しリスクにも繋がるため、事前の確認と準備が非常に重要です。

本記事では、この制度の概要から対象となる取引、保存すべき書類の内容についてわかりやすく解説します。

◇制度の概要と目的

内国法人が関連者との間で一定の取引を行った際、契約書や領収書などの取引関連書類に「対価の額を算定するために必要な事項(算定根拠)」の記載がない場合、その内容を明らかにする書類(特定事項記載書類)を取得・作成し、起算日(事業年度終了の日の翌日から2か月を経過した日等)から7年間保存することが義務付けられました。

■ 制度が導入された背景・目的

グループ間取引(シェアードサービスや経営指導、コスト分担など)において、恣意的な支払額の調整を防ぎ、「実際の取引実態」や「対価の算定根拠」を客観的に確認できるようにすることを目的としています。

◇対象法人および適用開始時期

今回の制度改正は、すべての関連者間取引を行う法人が対象となります。

■ 対象法人

関連者から役務提供等(関連者間取引)を受けたすべての内国法人

※青色申告・白色申告、法人の規模(大企業・中小企業等)を問わず適用されます。

※「関連者」とは?

内国法人・外国法人を問わず、持株関係(50%以上など)や実質的支配関係、およびこれらが連鎖して形成される特殊関係にある法人が該当します(個人は除かれます)。

■ 適用開始時期

令和8年(2026年)4月1日以後に開始する事業年度に行う関連者間取引から適用されます。

  • 例:3月決算法人の場合
    令和8年4月1日~令和9年3月31日の事業年度(令和9年3月期)から適用され、確定申告期限までに書類の取得・保存が必要となります。

◇対象となる取引

関連者から内国法人に対して行われる以下の取引で、販売費・一般管理費その他の費用の額の基因となるものが対象となります。

※売上原価の基因となる製品購入(通常の仕入等)などは対象外です。

1.工業所有権等の譲渡・貸付け(特許権、商標権など)

2.一定の役務提供

  • 親会社による技術指導・マーケティング支援
  • 会計・税務・法務などのバックオフィス支援
  • 親会社のシステムを子会社・関連会社に使用させる行為(システム利用) など

◇保存が求められる「特定事項」と記載例

「特定事項」とは、契約書や領収書などの書類において、対価の額を算定するために必要な情報のうち「記載が不足している事項」を指します。

※なお、求められるのはあくまで「算定根拠(計算方法など)」であり、第三者間取引と比較した金額の妥当性(なぜその金額にしたかという設定理由)まで求められるものではありません。

1. 工業所有権等の譲渡又は貸付け

  • 工業所有権等の明細
  • 工業所有権等の内国法人において果たす機能
  • 対価の額の明細及び対価の額の設定の方法

2. 役務提供(サービス・経営支援など)

役務提供の種類に応じて、以下の記載が必要となります。

取引の区分記載・明らかにすべき事項
① 開発・広告・専用資産の費用分担型
(研究開発や広告宣伝、専用資産の維持管理費などを被提供者が負担する契約など)
・事業活動の内容
・内国法人が負担することとなる費用の額の計算の方法
② 経営管理・指導・情報提供型
(ノウハウや知識経験に基づく経営指導、情報提供など)
・役務提供の明細及び内容
・役務提供に係る対価の額の明細及び計算の方法
③ 上記①②に類する役務提供・役務提供の明細及び内容
・役務提供に係る対価の額の明細及び計算の方法

※1つの書類だけで全てを満たす必要はなく、契約書+計算明細書+メールなど、複数の書類の組み合わせで算定根拠が把握できれば問題ありません

◇運用の留意点

■ 青色申告の取消しリスクに注意!

青色申告法人の場合、この「特定事項記載書類」が適切に保存されていないと、青色申告の承認の取消し事由に該当する可能性があります。税務調査等で指摘を受けないよう、事前の社内フロー整備が必要です。

■ メールや電子データ(電子取引)で受け取った場合

特定事項に関する情報をメールやPDFなどの「電子取引」で取得した場合、紙に印刷して「特定事項記載書類」を作成・保存する必要はありません

その代わり、電子帳簿保存法第2条に基づき、電子データのまま7年間保存する必要があります。

◇根拠法令

  • 法人税法 第126条(青色申告法人の帳簿書類の保存)
  • 法人税法施行規則 第59条の2(関連者間取引に係る書類の整理保存の特例)

◇まとめ

グループ会社・関連会社間でのコスト付け替えやサービス提供において、これまでは「契約書と請求書があればOK」とされていたケースでも、今後は「どうやってその金額が計算されたのか(算定根拠)」を証明する書類の管理が必須となります。

適用開始は令和8年4月1日以後に開始する事業年度からですが、グループ間契約の見直しや計算明細のフォーマット化など、早めの準備を進めておきましょう。

「自社のグループ間取引が対象になるか確認したい」「どのような書類を保存すればよいか相談したい」といった場合は、ぜひお気軽にご相談ください。

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