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【手続きと活用法】制度を利用するためのステップと専門家への相談

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ユアメディア編集部 ユアメディア編集部

はじめに:選択のその先へ

第1回で制度の基本を、第2回で2024年改正のポイントとメリット・デメリットを解説しました。相続時精算課税制度は、特に2024年改正により、「大きな非課税枠」「毎年110万円の基礎控除」という二つの強力な武器を手に入れ、非常に魅力的な選択肢となりました。

しかし、この制度を利用するには、「選択」という重要なステップを踏む必要があります。第3回では、制度を利用するための具体的な手続きと、どのようなケースで制度が有効に機能するのかを解説します。そして、複雑な判断を誤らないために、専門家への相談が不可欠である理由をご紹介します。

1. 制度を利用するための具体的な手続き

相続時精算課税制度を利用するためには、贈与を受けた人(受贈者)が、税務署に対して「相続時精算課税選択届出書」を提出する必要があります [1]。

1-1. 届出書の提出

  • 提出者(受贈者):贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上の子または孫。
  • 提出期限:贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日まで(贈与税の申告期間と同じ)。
  • 提出先:受贈者の住所地を管轄する税務署。

この届出書は、相続時精算課税制度の適用を受けるために必要な最初の手続きです。一度提出すると、その贈与者からの贈与については、暦年課税に戻ることはできません。

1-2. 添付書類

届出書には、受贈者や贈与者の戸籍謄本など、贈与者と受贈者の関係や年齢を確認するための書類を添付する必要があります [1]。

  • 受贈者の戸籍の謄本または抄本
  • 受贈者の戸籍謄本のみでは贈与者との関係が確認できない場合、贈与者の戸籍の謄本または抄本
  • その他、受贈者が18歳以上であることを証明する書類など

これらの書類の準備には時間がかかる場合があるため、届出を行うことが決まったら、早めに準備を始めることが重要です。

2. 相続時精算課税制度が有効なケース

制度のメリットを最大限に活かせるのは、主に以下のようなケースです。

2-1. 将来、大きな値上がりが予想される財産

第2回で解説した通り、この制度で贈与した財産は「贈与時の価額」で相続財産に合算されます。

例:未公開株や収益性の高い不動産

贈与時の評価額が1,000万円だった不動産が、相続時には5,000万円に値上がりした場合、相続での取得であればそのまま5,000万円が相続税の対象となりますが、相続時精算課税制度を利用していれば、1,000万円が対象となります。

将来の値上がり益を、実質的に非課税で次世代に引き継ぐことができる、最も強力な活用法の一つです。

2-2. 収益を生む財産を早期に引き継ぎたい場合

賃貸マンションやアパートなどの収益不動産を贈与することで、その後の家賃収入を子や孫に移転させることができます。

これにより、親の財産増加を抑え、将来の相続財産を減らす効果(資産の「フタ」をする効果)が期待できます。

2-3. 相続税の基礎控除額以下の相続財産が見込まれる場合

相続税には「3,000万円+600万円×法定相続人の数」という基礎控除額があります。

相続財産の総額がこの基礎控除額以下になる見込みであれば、そもそも相続税はかかりません。

この場合、相続時精算課税制度で贈与した財産を合算しても相続税はゼロになるため、実質的に2,500万円+年間110万円の非課税枠を最大限に活用できることになります。

2-4. 子や孫がたくさんいる場合

2024年の税制改正で、生前贈与のルールが変わりました。従来の贈与(暦年贈与)は、亡くなる前の贈与が相続財産に戻される期間が長くなり、対策が難しくなっています。

しかし、相続時精算課税には、年間110万円の非課税枠が新設されました。この110万円以下の贈与は、相続財産に一切戻されません。

子や孫がたくさんいる場合、一人あたり110万円を非課税で贈与できるため、人数が多いほど、確実に相続財産を大きく減らすことができます。

3. 複雑な判断を誤らないために:専門家への相談

相続時精算課税制度は、一見すると非常に魅力的な制度ですが、「小規模宅地等の特例」や「不動産取得時の税金」など、他の税制との兼ね合いを考慮すると、その判断は非常に複雑です。

特に、一度選択すると暦年課税に戻れないため、将来の相続税額をシミュレーションし、制度を選択すべきか否かを慎重に判断する必要があります。

3-1. 専門家へ相談するメリット

  • 最適な選択の判断:お客様の財産状況や家族構成に基づき、相続時精算課税制度と暦年課税のどちらが有利かを正確にシミュレーションし、最適な選択をアドバイスしてもらえる。
  • 届出書の確実な提出:「相続時精算課税選択届出書」は、添付書類が多く、記載内容に誤りがあると制度の適用を受けられないリスクがあります。専門家に依頼することで、確実かつスムーズな手続きが期待できる。
  • トータルな相続対策:贈与税だけでなく、相続税、不動産取得時の税金など、トータルで税負担を最小限に抑えるための対策を提案してもらえる。

3-2. 長期にわたるサポートには「クラウド専門」の税理士法人が最適

相続時精算課税制度は、贈与から相続発生まで、数十年単位の長期にわたる制度です。贈与者の相続が20年以上先の未来になることも十分に考えられます。この長期的なサポート体制を考えると、従来の「紙」ベースで業務を行う税理士法人よりも、クラウド専門の税理士法人を選ぶことが賢明です。

クラウド専門の税理士法人が適している理由

  1. 長期的なデータ保全性:贈与に関する資料や申告書控えを、紙ではなくクラウド上で安全に保管します。これにより、20年以上の長期保存が必要な場合でも、紛失や劣化のリスクがなく、必要な時にいつでもデータにアクセスできる。
  1. 場所を選ばないサポート体制:オンラインミーティングやクラウド会計システムを活用するため、お客様が日本中どこに引っ越しても、変わらず高品質なサポートを提供できます。転勤や移住などで住所が変わる可能性がある方にとって、これは大きな安心材料となる。
  1. リアルタイムな情報共有:クラウド上で資料や情報を共有することで、お客様と税理士法人間でのやり取りがスムーズになり、必要な情報にリアルタイムでアクセスできる。
  1. 将来的な法改正への対応力:税制は常に改正されます。クラウド専門の税理士法人は、最新のITツールを駆使して情報収集や業務効率化を図っているため、将来的な法改正や制度変更にも迅速かつ柔軟に対応できる体制が期待できる。

相続時精算課税制度の利用は、長期的な視点でのパートナー選びが成功の鍵となります。物理的な距離や紙の制約に縛られない、クラウド専門の税理士法人にご相談するのをお勧めします。

4. 最終的な判断は慎重に

相続時精算課税制度は、「知っている人だけが得をする」制度です。しかし、その選択は将来の相続に大きな影響を与えます。

「制度を利用したいが、自分にとって本当に有利なのか分からない」「届出書の作成が複雑で不安」といったお悩みをお持ちの方は、専門家へのご相談を検討してみてください。

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参考文献

[1] No.4103 相続時精算課税の選択 – 国税庁

相続時精算課税制度をゼロから学ぶ!シリーズ

<< 第1回:【超入門】「相続時精算課税制度」ってなに? 暦年課税との違いを徹底解説

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