
ニュースを解説! 今話題の「給付付き税額控除」とは
目次
1 給付付き税額控除とは
「給付付き税額控除」とは、所得税の減税(税額控除)と現金給付を組み合わせた制度です。
2025年9月30日現在、自民党、公明党、立憲民主党の3党でこの制度の導入が議論されています。背景には、低所得者層にも公平に減税の恩恵を行き渡らせる狙いがあります。
2 現状の課題
低所得者層の場合、そもそも納付する所得税額自体が少なく、従来の「減税」では十分な支援効果が得られないという課題があります。
たとえば、政府が税負担を軽くするために「10万円の減税」を打ち出したとします。
- ある人の納税額が 6万円 だった場合、計算上は 6万円-10万円=△4万円 となり、税額控除だけでは 6万円 までしか軽減できません。現状の所得税法では、控除できなかった残りの4万円は、計算上は、なかったことになります。
- 低所得者層の場合、「納付する所得税<税額控除額」となることが多いので、政府が減税政策を打ち出しても、低所得者層に対しては減税の効果が部分的にしか及ばないのです。
このように、単純な税額控除方式では、低所得者への支援が不十分になるという問題が浮かび上がっています。
3 対応策
この課題に対する対応策として検討されているのが「給付付き税額控除」です。
税額控除で引ききれなかった部分については、現金で給付する仕組みを導入することにより、低所得者も恩恵を受けられるようにします。
先の例で言えば、控除できなかった残りの 4万円 は、後日、現金で給付されるという仕組みになります。
まとめ
「給付付き税額控除」は、単なる減税策では届きにくい低所得層にまで支援を広げる新しい仕組みです。
一方で、制度設計や運営にあたっては、所得把握や給付の公平性をめぐる課題も少なくありません。今後の与野党協議の行方に注目が集まります。
