Article記事

ニュースを解説! ビールが身近に!酒税法改正で「金麦」がビールに格上げ!

税金・会計ニュース

ユアメディア編集部 ユアメディア編集部

1 金麦は本物のビールでない?

 お酒には必ず「酒税」という税金がかかっています。実は、この酒税はお酒の種類ごとに細かく区分されており、その区分は「酒税法」という法律で定められています。そして品目ごとに税率が決まっているのです。

 例えば、サントリーの人気商品「金麦」は、見た目も味もビールにそっくりですが、実は「ビール」ではありません。「発泡酒」という別のカテゴリーに分類されるため、税率が低く、その分価格を安く抑えることができていました。

 発泡酒とは、いわば「節税ビール」。ビールのような味がするお酒ですが、麦芽比率を抑えるなどの工夫で「ビール」には該当しない製法を採用しています。これにより、通常のビールより安く販売できていたのです。

 ところが2026年10月からは、酒税法の改正によりビールと発泡酒(さらに「第三のビール」と呼ばれる新ジャンル)すべてが同じ税率になりました。そのためサントリーは「金麦」の麦芽比率を50%以上に引き上げ、発泡酒から「ビール」へと格上げすることを発表しました。

2 背景

 かつて日本では、ビールの酒税が非常に高く設定されていました。そのためメーカーは、ビール本来の値段に加えて高額な税金を負担せざるを得ず、消費者にとっても「ビールは高いお酒」というイメージが強く定着していたのです。

 この状況を打開するために各メーカーが取り組んだのが、「発泡酒」や「新ジャンル(第三のビール)」の開発でした。これらは酒税法上「ビール」に該当しないため、安い税率で提供できるよう工夫された飲料です。

 近年の物価高で、消費者は少しでも安いお酒を求める傾向が強まりました。その結果、ビールよりも発泡酒や第三のビールを選ぶ人が増え、本物のビールの販売量が減少してしまったのです。

3 対応策

 こうした状況を踏まえ、政府は酒税法を改正し、2026年10月からビール系飲料の税率を統一しました。具体的には、ビール・発泡酒・第三のビールの酒税率を350mlあたり 54.25円 に揃えます。

ビール:63.35円 → 54.25円 

発泡酒及び新ジャンル(第三のビール)46.99円 → 54.25円

この改正により、従来は高額だったビールの税率が引き下げられ、逆に安かった発泡酒や第三のビールの税率が引き上げられます。結果として、すべてのビール系飲料の価格が近づき、消費者は「価格差を気にせず好きな味を選べる」ようになるのです。

サントリーは、この流れを受けて「金麦」を発泡酒から本物のビールへ格上げするとのことです。麦芽比率を50%以上にしても、本体価格はほぼ維持するとしており、消費者にとっては「手頃な値段で本物のビールを楽しめる」ようになるでしょう。

4 おまけ ~筆者の受験時代~

筆者は、税理士試験で酒税法を選択しました。合格した当時は、ビールの酒税率は350mlあたり、70円でした。

酒税法の問題には、品目の判定問題があるのですが、特に、ビールと発泡酒、第三のビールの定義が難しく、毎年ビール系飲料の判定問題が出題されるので、苦労したのを覚えております。

ビール系飲料の税率が統一されたのであれば、酒税法の受験生も少しは楽になるのではないかと感じております。

Related post 関連記事