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ニュースを解説|学び直しの休暇、「教育訓練休暇給付金」の制度が始まる

税金・会計ニュース

ユアメディア編集部 ユアメディア編集部

1 学び直しの無給休暇を取るとお金がもらえる制度

2025年10月から、雇用保険法の改正により「教育訓練休暇給付金」が新設されました。
この制度は、労働者がリスキリング(学び直し)のために30日以上の無給休暇を取得した場合、 休暇期間中の賃金の5割~8割を受け取ることができるものです。
給付は最大150日分支給され、さらに既存の教育訓練給付金(学校などの受講費用の給付金)との併用も可能です。
つまり、生活費と受講費の両方を支援する仕組みが始まります。

2 給付を受けるための要件

主な要件は以下の通りです。
・雇用保険に5年以上加入していた期間がある
・連続した30日以上の無給の教育訓練休暇を取得する
・勤務先企業が教育訓練休暇の制度を就業規則などで定めている
・業務命令による資格取得(会社指示の研修など)でない
この制度を利用することで、安心してキャリアアップや転職に向けた学び直しに取り組むことができます。

3 背景

日本では長らく、企業が社員を一から育てる「終身雇用」が中心でした。
一方、欧米では「ジョブ型雇用」が主流で、労働者が自ら学び投資し、 企業はそのスキルに応じて報酬を支払うという考え方が一般的です。
AIの急速な発展や人手不足により、「学び直し」=リスキリングの必要性はこれまで以上に高まっています。
政府はこの流れを後押しするため、生活支援を含む新たな給付制度を導入したというわけです。

4 企業にもチャンス:採用・定着のカギに

人材獲得競争が激しくなる中で、社員のキャリア支援に前向きな企業が注目を集めています。
教育訓練休暇の制度を整備することで、「学びながら働ける会社」として採用力を高め、社員の定着にもつながります。

<企業側へのおすすめ対応>
・就業規則に「教育訓練休暇制度」を明文化する
・申請方法や対象範囲を社内に周知する
・制度を活用した社員の学びを支援・評価する

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