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【2026年4月改定】「食事の現物支給」の非課税限度額の大幅引上げ!要件と実務の注意点を解説

税金・会計ニュース

ユアメディア編集部 ユアメディア編集部

企業の福利厚生として人気の高い「食事の現物支給(まかない・ランチ補助など)」ですが、2026年(令和8年)4月1日より、所得税の非課税限度額が大幅に引き上げられました。本記事では、税制改正の変更点について実務上の要件や計算例、注意点を徹底解説します!

1.税制改正(通達改正)の背景と概要

役員や従業員に対して企業が食事代を現物支給(お弁当の支給や食堂での食事提供など)する場合、一定の要件を満たしていれば、所得税の非課税として扱われ、従業員側の給与所得として課税されず、企業側も福利厚生費として全額損金に算入できます。

この食事にかかる非課税限度額は、長年にわたり「月額3,500円」に据え置かれていましたが、物価高騰や食材費の上昇といった社会経済情勢の変化に合わせ、実態に即した水準へ見直されることとなりました。

2.【比較表】今回の法改正で何が変わったのか?

まずは、今回の改正内容の全体像を把握しましょう。今回の改正は、2026年(令和8年)3月31日付の法令解釈通達の改正に基づき、2026年(令和8年)4月1日以後の支給分より適用されます。主な変更点は、以下の2点です。

食事の現物支給等に係る非課税限度額の比較表

項目改正前(〜2026年3月31日)改正後(2026年4月1日〜)影響とポイント
① 通常の食事(現物支給)の非課税限度額月額 3,500円 以下※1月額 7,500円 以下※1限度額が2倍以上に拡大。企業にとっては税制上の優遇を受けながら、従業員に対しより手厚い福利厚生(食事補助)が可能に。
② 深夜勤務に伴う夜食の現金支給1回 300円 以下※21回 650円 以下※2夜勤のある職場(製造業・医療等)での負担軽減措置も一新。

※1 金額はそれぞれ税抜、10円未満の端数が生じた場合にはこれを切り捨てます

※2 金額はそれぞれ税抜

3. 食事の現物支給が「非課税」となる2つの要件

役員や従業員に食事を支給(または補助)する場合、単に「月額7,500円以下なら非課税」になるわけではありません。所得税基本通達36-38の2に基づき、次の2つの要件を「両方とも」満たす必要があります。

非課税適用のための2大要件

  • 【要件①:従業員の自己負担額】
    従業員から実際に徴収している対価(自己負担額)が、その食事の価額の50%相当額以上であること。
  • 【要件②:会社側の負担額】
    食事の価額から従業員の自己負担額を差し引いた金額(会社負担額)が、月額7,500円以下であること。

※「食事の価額」とは、お弁当などを外部から購入している場合は「購入業者への支払価格」、自社で調理して支給している場合は「材料費や調味料など直接かかった費用の額」を指します。

4. 判定シミュレーション

要件を正しく理解するために、いくつかのパターンで非課税になるか検証してみましょう。なお金額はいずれも税抜とします。

ケースA:非課税となるパターン

  • 食事の総額:15,000円
  • 従業員の自己負担額:7,500円(全体の50%)
  • 会社の補助額:7,500円
  • 【判定:○ 非課税(所得税はかかりません)】

    理由:従業員負担がぴったり50%(要件①クリア)であり、会社補助額も改正後の上限である月額7,500円以下(要件②クリア)に収まっているためです。

ケースB:非課税とならないパターン(自己負担不足)

  • 食事の総額:10,000円
  • 従業員の自己負担額:3,000円(全体の30%)
  • 会社の補助額:7,000円
  • 【判定:× 非課税不可(全額課税)】

    理由:会社補助額は7,000円(7,500円以下)で要件②を満たしていますが、従業員の自己負担額が50%未満(30%)であるため、要件①を満たさないためです。

ケースC:非課税とならないパターン(会社側の負担額の上限超過)

  • 食事の総額:20,000円
  • 従業員の自己負担額:11,000円(全体の55%)
  • 会社の補助額:9,000円
  • 【判定:× 非課税不可(全額課税)】

    理由:従業員負担が50%以上(11,000円 ≧ 10,000円)で要件①はクリアしていますが、会社補助額が9,000円となり、改正後の上限である月額7,500円を超えてしまっている(要件②を満たさない)ためです。

⚠️重要:要件を外れた場合の税務リスク

要件を1つでも満たさない場合、会社が負担した金額(上記のケースCであれば9,000円)は非課税とはならず、その従業員の「給与(経済的利益)」とみなされ、所得税の源泉徴収の対象となりますのでご注意ください。

5. 絶対に押さえるべき「5つの注意点」

制度の拡充は企業にとって朗報ですが、実務上、以下の点に正しく留意して運用する必要があります。

注意点①:「現金支給」は原則として全額課税

食事補助を「手当」などの名目で現金で従業員に支給する場合は、金額に関わらず全額が給与として課税されます。

非課税の適用を受けるには、あくまで会社が契約した業者からお弁当を購入して支給する、あるいは食事券(チケット)を配るといった「現物支給(またはそれに準ずる方法)」である必要があります。

注意点②:深夜勤務の夜食手当の特例

深夜勤務(一般的に夜10時から翌朝5時までを含む勤務)を行う従業員に対し、現物の夜食が支給できずに代わりに現金を支給する場合、1回につき税抜650円以下であれば非課税となります(こちらも改正前の300円から引き上げられました)。

ただし、これも通常の勤務時間に対する昼食補助などには適用できませんので正しい理解が必要です。

注意点③:管理台帳の整備

税務調査の際、「本当に要件を満たしているか」を証明するために、以下の書類やデータを整備・保管しておく必要があります。

  • 食事の発注書・領収書(食事の価額の証明)
  • 給料天引きや現金徴収の記録(従業員負担額50%以上の証明)
  • 従業員ごとの月額補助額の管理データ(月額7,500円以下の証明)

注意点④:役員・従業員「全員」が対象であること(一人法人・役員のみの会社は原則対象外)

食事補助を福利厚生として扱うには、全役員・全従業員が利用できる制度になっていることが必要です。特定の役員や一部の従業員だけを対象にした場合、その会社負担額は福利厚生費ではなく「給与(役員給与)」とみなされ、課税対象となります。

なお役員自身を対象に含めること自体は可能ですが、次のケースは福利厚生としての取り扱いが原則として認められません。

  • 従業員のいない一人法人(社長一人):福利厚生は「従業員のための制度」であることが前提のため、社長個人への食事補助は福利厚生費として認められず、原則として役員給与(=課税)として扱われます。
  • 家族役員のみの会社:実態が「家族の食事代」と判断されれば私的支出=給与とみなされる税務リスクが高く、食事補助を福利厚生として扱うことは推奨できません。

注意点⑤:社会保険料は「別の基準」で判定される

見落とされがちですが、食事の現物支給は「所得税」と「社会保険(健康保険・厚生年金)」で判定基準が異なります。所得税が非課税になる設計でも、社会保険では食事が報酬(現物給与)に含まれ、社会保険料が増える場合があります。

所得税社会保険
基準となる価額実際の食事の価額(購入額・材料費)厚生労働大臣が定める標準価額(都道府県別・毎年4月改定)
自己負担のライン食事の価額の 50%以上標準価額の 3分の2以上

社会保険では、従業員の負担額が都道府県別の現物給与価額の3分の2以上であれば、食事の提供は現物給与として扱われません。

一方、従業員の負担額が3分の2未満の場合は、次の金額が現物給与として報酬に算入されます。

現物給与として算入する額= 都道府県別の現物給与価額 − 従業員の負担額 

社会保険料まで抑えたい場合は、本人負担額を「都道府県別の標準価額の3分の2以上」に設定する必要があります。標準価額は都道府県・年度で異なりますので、詳細は社会保険労務士にご確認ください。

6. まとめ

今回の「食事の現物支給に係る非課税限度額の引上げ」は、実に長年据え置かれていた基準が見直された画期的な改正です。

①上限が3,500円から7,500円へと大幅にアップしたこと

②要件(自己負担50%以上、会社負担7,500円以下)を正しく守ること

これらを押さえることで、企業側は「福利厚生費(経費)」としつつ、従業員側は税金(所得税・住民税)の負担を増やすことなく、実質的な手取りや待遇を向上させることが可能となります。

「自社の運用の仕方で非課税になるか不安がある」といった経営者様・人事労務担当者様は、ぜひ一度当税理士法人までお気軽にご相談ください。

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