労働保険の年度更新マニュアル【2023年度版】
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目次
いよいよ6月1日より労働保険の年度更新が始まります!
お手元に申告納付書は送られてきましたでしょうか??
決算時期がいつであっても、労働保険の年度更新は全ての事業者様が6月1日~7月10日までの申告になること、また、今年は雇用保険率が令和4年4月と同年10月に改正されているので、令和4年度確定保険料の算定方法が例年と異なっておりますのでご注意くださいね!
今回は労働保険とは?という基本のところから、申告までの流れについて解説していこうと思います。
ぜひ参考にしてみてください!
労働保険とは?
労働保険とは労災保険と雇用保険の総称です。
労災保険は、労働者が業務上や通勤によって負傷や死亡された場合に給付される保険です。療養給付、障害給付、遺族給付などが該当します。
雇用保険は、労働者が失業した場合に、生活安定を図ったり、再就職を促したりするための保険です。失業保険や、育児や介護の際の雇用継続などが該当します。
労働保険は、原則的に労働者を1人でも雇っていれば、事業主は加入手続きを行って労働保険料を納付しなければいけないことになっています。
従業員を雇用した際には必ず「保険関係成立届」を提出しましょう。そうすると、労働保険の年度更新に必要な申告納付書が毎年5月末日までに送付されてきます!
必要書類を受け取り、内容を確認
年度更新に必要な書類(申告納付書)を受け取りましょう
毎年5月末日までに「労働保険概算・確定保険料/石綿健康被害救済法一般拠出金申告書」(以下、「申告納付書」)が送付されてくることになっています。
お手元に緑色の封筒は届いているでしょうか??万が一、6月になっても書類が届いていない場合は、早めに所轄の都道府県労働局に問い合わせましょう。
(都道府県労働局の一覧は都道府県労働局(労働基準監督署、公共職業安定所)所在地一覧|厚生労働省からご確認いただけます。)
申告納付書の内容を確認しましょう
労働局から送られてくる申告納付書には、あらかじめ「労働保険番号」、「事業の所在地・名称」、「保険料率」等が印字されています。
これらの事項に誤りがないかを確認し、万が一不備があった場合は労働局に問い合わせましょう。
保険料を算出しましょう
保険の世界では「会社」単位ではなく、「事業所」単位で保険料を算出します。
支店や工場、工事現場なども事業所として数えられます。事業所ごとに保険料を算出して申告納付しなければならないので、注意してくださいね!
では、どのように保険料を算出するのでしょうか??
基本ルールとしては、「前年度分の正確な計算(確定保険料)」+「今年度分の概算の計算(概算保険料)」の2種類の計算を行います。
算定期間は決算の時期にかかわらず、全ての事業者が4月1日~3月31日までの期間になりますのでご注意ください。
- 年度終了時に確定保険料を計算する
- 前年度支払った概算保険料との差額を清算する
- 概算保険料を事前に納付する
この作業を毎年繰り返し行うことが【年度更新】です!
前年度の確定保険料を計算する
確定保険料を算出するにあたり、前年度に支払った賃金総額に実際の保険料率をかけて、実際の保険料を確定させなければなりません。
手順は以下の通りです。(保険料率は令和5年度の労災保険率について~平成30年度以降変更ありません~よりご確認ください)
- 申告納付書に「常時使用労働者数」「雇用保険被保険者数」「免除対象高年齢労働者数」を記入する。
- 全従業員の賃金総額、雇用保険被保険者の賃金総額を算出する。(労働保険関係各種様式|厚生労働省の「確定保険料・一般拠出金算定基礎賃金集計表」を作成して算出すると便利です!2023年度は「令和4年度確定保険料算定内訳」欄を使用して、前期(令和4年4月1日~令和4年9月30日)・後期(令和4年10月1日~令和5年3月31日)にわけて算出します。)
- 2で算出した賃金総額に、申告納付書に印字されている労災保険料と雇用保険料それぞれの保険料率をかける。
- 労災保険料=全従業員の賃金総額×労災保険料率
- 雇用保険料=(前期の雇用保険被保険者の賃金総額×前期の雇用保険料率)+(後期の雇用保険被保険者 の賃金総額×後期の雇用保険料率)
- 2で算出した賃金総額に、申告納付書に印字されている一般拠出金率をかける
- 一般拠出金=全従業員の賃金総額×0.002%(一律)
※一般拠出金:「石綿による健康被害の救済に関する法律」により、石綿(アスベスト)健康被害者の救済費用に当てるための拠出金として、すべての労災保険適用事業主(特別加入者を除く)・船舶所有者から毎年徴収されます。
上記の流れに沿って、申告納付書の必要事項を埋めていきましょう。
34で算出した【労災保険料+雇用保険料+一般拠出金】が前年度の確定保険料になります。
前年度、概算で支払った保険料が確定保険料を上回れば余剰分が翌年度分に充当され、少なければ追加の保険料を納付が必要になります。
それぞれの詳しい記入の仕方は、申告納付書と一緒に送られてきたリーフレットをご参照ください。リーフレットは労働保険徴収関係リーフレット一覧 |厚生労働省からもダウンロードできます。
今年度の概算保険料を算出する
前年度の確定保険料を算出したら、次は今年度の概算保険料を計算しましょう。
確定保険料欄と同様に、今年度の見込み賃金総額に、申告納付書に印字されている保険料率をかけて算出します。(保険料率は令和5年度の労災保険率について~平成30年度以降変更ありません~よりご確認ください)
※今年度の賃金総額の予定が、前年度の100分の50以上、100分の200以下(つまり、前年度の半額以上~2倍以下)の場合は、前年度分として確定した賃金総額を今年度の予定賃金総額として計算します。
- 労災保険料=今年度の全従業員の賃金総額×労災保険料率
- 雇用保険料=今年度の雇用保険被保険者の賃金総額×雇用保険料率
- 一般拠出金=今年度の全従業員の賃金総額×0.002%(一律)
この合計が今年度の概算保険料となります。
労働局または労働基準監督署に必要な書類を作成し提出する
リーフレットを参照しながら、算出した確定保険料と概算保険料の記入欄、およびそれぞれの項目について、順に申告納付書を埋めていきます。
作成した申告納付書は6月1日~7月10日の間に提出しましょう!!
労働保険概算・確定保険料/石綿健康被害救済法一般拠出金申告書を作成
主なチェック項目は下記のとおりです。
- 「常時使用労働者数」「雇用保険被保険者数」「免除対象高年齢労働者数」
- 申告済概算保険料と確定保険料との差額を元に算出する「充当額」もしくは「不足額」
- 概算保険料の納付回数
- 期別納付額欄(一定の条件に当てはまり、概算保険料の延納を希望する場合)
- 事業又は作業の種類
- 加入している労働保険
- 特掲事項
- 事業
- 事業主
- 領収済通知書の各項目
労働局または労働基準監督署に提出する
所轄の労働局または労働基準監督署に「労働保険概算・確定保険料/石綿健康被害救済法一般拠出金申告書」を提出します。
申告納付書の1枚目は労基署提出用、2枚目は会社控となります。
≪提出書類≫
労働保険概算・確定保険料/石綿健康被害救済法一般拠出金申告書
≪添付書類≫
原則として不要
納付書を確認し保険料を納付する
作成した申告納付書を提出すると、労働局から納付書が送付されてきます。
金融機関に持ち込み保険料を納付しましょう!!
口座振替を選択している場合は、納付書の代わりに口座振替日等の案内が届きますので、残高不足などが発生しないように銀行口座の確認を行いましょう。
これで労働保険料の年度更新は終了です!皆様、お疲れ様でした!
お問合せ先
労働保険の年度更新編はいかがだったでしょうか?
ここでは、保険料の算出から提出までの大枠について解説いたしました!
毎年発生する業務であり、今年度に関しては年度途中で雇用保険料率の改定もあるため、大きな負担があるかと思いますが給与freeeやMF社会保険といった給与計算ソフトを使っていただくと、自動計算により比較的スムーズに作業を行うことも可能かと思います。
労働保険の年度更新ついてのお問い合わせやご質問等ございましたら、社会保険労務士法人クラウドパートナーズまでお気軽にご相談ください!