
ニュースを解説! 外国人観光客の免税制度が変わる! 転売対策とリファンド方式を解説
1 お店にある免税カウンターって何?
百貨店や大手小売店では、売り場の一角に専用のカウンターを設置し、(消費税の)免税手続きができる「免税カウンター」があります。
この免税カウンターでは、外国人観光客が一定の手続きをすると、税抜き価格で買い物ができます。
なぜ外国人観光客は税抜き価格で購入できるかというと、日本の消費税は、国外で消費されるものに対しては免除する(免税)、という前提になっているからです。
つまり、外国人観光客が「購入した商品を日本国内で消費せず、自国に持ち帰る」ことを条件に、消費税が免除されます。
2 現状の課題
この制度は本来、観光客が「日本で買い物を楽しみ、その商品を母国へ持ち帰る」ことを前提に作られています。ところが、実際には制度の悪用も発生しています。
一部の外国人観光客の中には、免税カウンターで税抜き価格で商品を購入したにもかかわらず、母国に持ち帰らずに日本国内で転売する人もいるそうです。こうした行為は制度の趣旨に反しており、公平な税負担を崩す原因となっています。
特に、2025年現在、円安の影響で海外ブランド品を日本で安く購入できる状況が続いており、外国人観光客が高級ブランド商品を免税カウンターで大量購入し、国内で転売する事例が目立っているようです。
国の調査によれば、この制度が悪用された結果、2023年度までの2年間で、日本国内で転売されたとみられる免税品の総額は約2,000億円に達しているとされています。単純に計算すると、税率が10%であれば、約200億円の消費税の収入が不当に減少していることになります。
このように、免税カウンターは観光振興に貢献してきた一方で、不正利用による「転売ビジネス」にも悪用されているのが現状です。
3 対応策
こうした免税カウンターの悪用に対応するため、政府は制度の見直しを進めています。具体的には、「リファンド方式」と呼ばれる新しい仕組みが導入される予定です。
リファンド方式では、免税カウンターであっても、一旦「税込価格」で購入することになります。そのうえで、帰国時に空港などの税関で購入商品の持ち出しを確認し、問題がなければ消費税分を後から払い戻す、という仕組みです。
このリファンド方式は、2026年11月から導入される予定です。
