Article記事

相続税の加算、税額控除について概要を解説!

税金・会計ニュース

ユアメディア編集部 ユアメディア編集部

はじめに

 

 本記事では、相続税額の加算・控除の内容について概要を解説をしていきます。
相続税は大まかに下記の5つの手順で計算を進めていきますが、本記事で取り上げるのはStep5の部分になります。すなわち各相続人・受遺者の相続税額を確定させる最後のステップとなります。
 税額に直接関わりますので、どのような項目があるのか、どういった人が対象になるのか、本記事を通じて理解を深めて頂けますと幸いです。

【相続税計算の流れ】

  • Step1 被相続人の遺産の総額(課税価額の合計額)を計算する
  • Step2 被相続人の課税価額の合計額から基礎控除額を控除する
  • Step3 相続税額の総額を計算する
  • Step4 財産を取得した者ごとの相続税額を計算する
  • Step5 財産を取得した者ごと相続税額の調整を行う  ←今回の記事はここを解説します

 相続税の計算の流れは下記の記事で紹介をしております!
まずは相続税計算の流れから知りたいという方は、先にこちらをご覧くださいませ。

調整項目

 税額の調整については下記の項目があり、列挙した順序で税額を計算していきます。
1.以外は全て控除項目になりますので、該当がある場合には一定の金額を控除することになります。

  1. 相続税額の2割加算
  2. 贈与税額控除(暦年課税)
  3. 配偶者の税額軽減
  4. 未成年者控除
  5. 障害者控除
  6. 贈与税額控除(相続時精算課税)
  7. 相似相続控除
  8. 外国税額控除

 基本的には相続税の還付はありませんので、控除できる金額が無くなった場合には相続税額が0円となって計算完了となります。
 ただし、6.贈与税額控除(相続時精算課税)については、控除した結果相続税額がマイナスになった場合に還付を受けることができます。

 以下それぞれ概要を説明をしていきます。

1.相続税額の2割加算

 相続税額の2割加算は、被相続人の配偶者と一親等の血族(親・子)以外の者については相続税額を20%上乗せするという規定です。割合が比較的大きいため、相続対策を検討する際には是非注意をしたいポイントです。

2.贈与税額控除(暦年課税)

 生前贈与加算の適用を受けた贈与財産について、既に支払った贈与税の金額を相続税の金額から控除します。
 生前贈与加算は相続開始の日から遡って3年以内(※)に被相続人から贈与された財産を、相続財産とみなして計算するというルールです。
 もし生前贈与加算の適用を受ける財産について既に贈与税の納付をしている場合、相続税と2重で税金がかかることになってしまいます。贈与税額控除はこの2重課税を解消するための規定となります。

※令和6年から3年以内から7年以内にルールが改正となりました。詳しくはこちらの記事をご覧くださいませ。

3.配偶者の税額軽減

 被相続人の配偶者の生活保障の観点から、配偶者の相続税について一定の金額を控除するという規定です。
 控除する金額は1億6千万円と、全財産の内、配偶者の法定相続分に対応する金額のうちいずれか大きい金額までとなります。配偶者の取得した財産の金額次第ではありますが、この規定の適用によって被相続人の配偶者の相続税は0円になる場合が多いです。

 ただし、この規定を活用するために被相続人の配偶者に財産を多く相続させた場合、その配偶者が亡くなった際の相続税額が大きくなってしまいます。本規定の適用にあたっては次の相続も見据えた検討が必要になります。

4.未成年者控除

 被相続人の財産を取得した人が未成年(18歳未満)である場合に、その人が18歳に達するまでの年数×10万円を控除します。成人年齢の引き下げに伴い、2022年から対象年齢が引き下げられました。

 なおこの規定は、財産を取得した人が法定相続人である場合に限り適用が出来ます。なお、被相続人及び相続人が日本国籍を有しない場合等、一定の場合には適用できません。

5.障害者控除

 被相続人の財産を取得した人が障害者である場合に、その人が85歳に達するまでの年数×10万円(障害の程度によっては20万円)を控除します。 

 未成年者控除と同じく財産を取得した人が法定相続人である必要があり、かつ財産を取得した人が相続開始時に日本に居住している必要があります。
 また被相続人と相続人が日本国籍を有しない場合等一定の場合には適用できません。

6.贈与税額控除(相続時精算課税)

相続時精算課税の適用を受けた贈与財産について、既に支払った贈与税の金額を相続税の金額から控除します。
 2.贈与税額控除(暦年課税)と趣旨は同じですが、相続時精算課税の適用を受けている場合には贈与税の計算方法が異なりますので、別建てで計算をする事になります。
 また控除した結果相続税額がマイナスになった場合、一定の手続きをすることによって還付を受けることができます。

7.相次相続控除

 被相続人が10年以内に相続によって財産を取得している場合に一定の金額を控除する規定で、控除額は10年以内に相続において納付した相続税をベースに計算されます。
 この規定はある程度短期間で続けて相続が発生した場合、税負担を軽減するという趣旨で設定されています。
 なおこの規定は、被相続人が10年以内に相続によって相続税を支払っている場合に限り、相続人に対して適用されます。相続人でない人には適用はありません。

8.外国税額控除

 国外の財産を取得した際、その所在国でも相続税に相当する税金が課せられたときに適用される制度です。国際間での2重課税を解消するための規定で、相続税額から国外で納めた相続税に相当する税額を控除します。
 こちらは財産がある国によってルールが異なりますので、該当がありそうな場合には専門家にご相談することをお勧めいたします。

終わりに

 本記事では相続税の加算、控除の項目について簡単に一覧で紹介を致しました。どういった項目があるのか、まずは概要を知っていただけますと幸いです。
 この記事が皆様のお役に経てば幸いでございます!

電話
03-4595-0165 ※平日9:00~18:00

お問い合わせはコチラ

【ユアキャリアSNS】是非フォローを!

Twitter:https://twitter.com/urcareer_job

Instagram:https://www.instagram.com/urcareer_job/


Related post 関連記事