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先生教えて!!令和3年度税制改正(個人所得課税)の内容とは?

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今回は、現役税理士の先生に令和3年度税制改正の中の個人所得課税について、わかりやすくご解説いただきました!

はじめに

 令和3年度税制改正の法案が2021年3月26日に国会で可決・成立しました。

 本記事では、主に個人の確定申告に関連する税制改正の内容を中心に、【誰が】【いつ】【どうなる】という形式で、噛み砕いて概要を解説していきます。

住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除に関する改正

【誰が】

住宅を取得し令和4年末までに入居した個人

【いつ】

取得した年から合計13年間

【どうなる】

床面積40㎡以上50㎡未満の住宅も対象とした上で、13年間以下の通り控除を受けることができる。

・初めの10年間→住宅ローン残高の1%を所得税・住民税から控除(40万円が上限)

・最後の3年間→建物の税抜金額(4,000万円が上限)の2%÷3を所得税・住民税から控除

≪住宅ローン控除の整理≫

①中古(売主個人)を購入(特定取得以外の取得)

・・・10年間上限20万円を所得税・住民税から控除

②新築・増改築・中古(売主法人)を消費税8%で購入(特定取得)

・・・10年間上限40万円を所得税・住民税から控除

③新築・増改築・中古(売主法人)を消費税10%で購入※1(特別特定取得)

・・・13年間所得税・住民税から税額控除

④新築・増改築・中古(売主法人)を消費税10%で購入※2(特別特例取得)

・・・13年間所得税・住民税から税額控除

※1

a. 契約日:新築については令和2年9月末まで、中古住宅の取得、増改築等については令和2年11月末まで

b. 入居日:令和元年10月1日から令和2年12月31日まで(コロナ特例あり)

※2

a. 契約日:新築については令和2年10月1日から令和3年9月30日まで、中古住宅の取得、増改築等については令和2年12月1日から令和3年11月30日までの期間

b. 入居日:令和3年1月1日から令和4年12月31日まで

c. 要件緩和:新築又は取得をした住宅の床面積が50平方メートル以上であることとする要件を40平方メートル以上であることとする。

ただし、床面積が40㎡以上50㎡未満の住宅を購入した場合、その者の13年間の控除期間のうち、その年分の所得税に係る合計所得金額が 1,000万円を超える年については、適用しない。

セルフメディケーション税制

「一定の取組を⾏ったことを明らかにする書類」の確定申告書への添付が不要になりました。5年間の保存は必要なので捨てないようにしましょう。

退職所得の適正化(短期退職所得)

勤続年数が5年以下の者が受ける退職⼿当等で,退職所得控除後の⾦額が300万円を超える部分については,1/2課税しないこととなりました。

5年以内の勤務で380万円を超える退職⾦をもらう⼈がいれば、該当する可能性がありますので確認しましょう。

所得税の申告義務

【誰が】確定申告することによって源泉所得税の還付や予定納税の還付がある個人

【いつ】令和4年1月1日以後に提出期限が到来する所得税

【どうなる】3月15日までの提出義務がなくなる(注意:青色申告特別控除を受ける場合には期限内申告が必要です!)

≪所得税の申告義務(死亡・出国の場合を除く)の整理≫

①所得税額が配当控除額を超え、納付の場合〈法120①〉

・・・2/16~3/15に申告義務あり

②所得税額が配当控除額を超え、外国税額控除によって還付の場合〈法120①⑧〉

・・・【従前】1/1~3/15のうちに申告義務あり→【改正】申告義務なし(5年以内の提出で還付)

③所得税額が配当控除額を超え、源泉徴収税額によって還付の場合〈法120①⑧〉

・・・【従前】1/1~3/15のうちに申告義務あり→【改正】申告義務なし(5年以内の提出で還付)

④所得税額が配当控除額を超え、予定納税額によって還付の場合〈法120①⑧〉

・・・【従前】1/1~3/15のうちに申告義務あり→【改正】申告義務なし(5年以内の提出で還付)

⑤所得税額はあるが配当控除で税額が0となる場合〈法122①〉

・・・申告義務なし(5年以内の提出で還付)

⑥所得税額はあるが年末調整に係る住宅ローン控除で税額が0となる場合〈法122①〉

・・・申告義務なし(5年以内の提出で還付)

⑦所得税額はあるが政党等寄付など措置法の税額控除で税額が0となる場合〈法120①〉

・・・2/16~3/15に申告義務あり

⑧その年中に純損失又は雑損失の金額があるとき〈法123〉

・・・期限内の申告義務なし(注意:繰越控除・繰戻還付を受ける場合、申告要件はあります!)

⑨給与所得を有する者の特例〈法121①〉

・・・申告義務がある者のうち、年間給与等が2,000万円以下で一定の者は確定申告を要しない

⑩退職所得を有する者の特例〈法121②〉

・・・申告義務がある者のうち、適正に源泉徴収されている者は確定申告を要しない

⑪公的年金等を有する者の特例〈法121③〉

・・・申告義務がある者のうち、公的年金等が400万円以下で一定の者は確定申告を要しない

おわりに

いかがでしたでしょうか。

上記の解説はあくまで概要になりますので、実際に適用される場合は事前に税理士と相談の上、実行するようお願いいたします。

最後までお読みいただきありがとうございました。

少しでもお役立ていただけましたら大変幸いです。


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