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【速報】公認会計士試験制度が大幅変更へ|受験生が知っておくべき5つのポイント

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ユアメディア編集部 ユアメディア編集部

はじめに

平成18年に新試験として再編された公認会計士試験から約20年が経過し、受験者数は一時減少した後、現在では年間2万人超に回復しています。一方、監査の品質強化やIT・サステナビリティ関連知識の必要性が高まる中、公認会計士に求められる能力も拡大しています。

これらを踏まえ、金融庁や公認会計士・監査審査会は「バランス調整」と称し、試験制度の枠組みや出題内容の見直しを開始しました。本記事では、制度変更の趣旨、具体的な変更点、そして受験生が取るべき対策について解説します。

公認会計士試験のバランス調整について(公認会計士・監査審査会)

1.新試験導入以降の受験状況

平成18年、新試験導入時には年間約4,000名の合格者となり、当初想定の2,000〜3,000名を上回りました。しかし、当時の監査法人の採用抑制や実務経験不足により「待機合格者」が多数発生。

その後、受験者数は平成22年の約25,600名から平成27年に約10,200名に急減しましたが、就職市場の改善とともに再び受験者数は2万人超へ回復。合格者数も現状約1,600人で安定傾向にあります。

また、近年では学生の割合増加による合格者の平均年齢低下(26→24歳台)、女性の受験・合格比率が受験者約25%、合格者約20%台にとどまるなど、多様性の観点も課題です。

2.バランス調整の必要性:試験制度と受験者急増の影響

現在、公認会計士試験は短答式・論文式の2段階構成で、最終合格率は約7.4%と低迷しています。短答式は合格率が一桁%台で非常に低く、論文式は受験者数が抑えられている影響で合格率が逆に30%台後半と高く、バランスが崩壊しています。

本来、短答式は基礎知識の判定、論文式は思考・応用力の判定が主目的ですが、現状では短答式で“知っている”受験生が落ちる一方、論文式では十分な“応用力”が無くても合格可能という歪みが生じています。

また、監査業務にITや英語の導入、サステナビリティ情報の保証など新たな専門性が求められる中、試験内容の更新も課題です。

3.合格率調整策:短答式・論文式の見直し

短答式試験

受験意欲を維持し、論文式受験への道を広げる観点から合格者数を増やす方針。基準得点率(現行平均70%)は維持しつつ、受験者数の増加を想定。

論文式試験

合格者数増+応用力重視の観点から基準得点率を52%→54%に引き上げ。段階的導入とし、令和8年短答、9年論文式より新基準へ。科目別一部合格制度も、平均→上位15%へ厳格化。

採点コスト軽減

論文式受験者増に備え、採点者(委員)を増員し、デジタル採点拡張、答案の可読性改善促進、CBT導入検討など多面的対応。試験日〜合格発表期間は変更せず。

4.短答式配点・試験時間調整

短答式では特に財務会計・管理会計の計算問題の配点が高く、1問の出来不出来が合否に直結してしまう現状があります。

令和8年以降、これら科目の問題数を増やし1問当たり配点を引き下げることで、安定した知識判定へシフトします。

加えて、各科目の試験時間も調整。計算には十分な時間を割き、理論中心科目は短縮を検討。合計配点や難易度には変更せず、受験者負担を最小限に抑えた調整を目指します。

5.出題内容と能力判定への対応

短答式・論文式それぞれの役割に即した出題

両試験において計算・理論のバランスある出題を継続し、難易度調整による合否予見性を向上。

選択科目の公平性強化

現在約97%が経営学を選択。他科目(経済・統計・民法)への誘導を図るため、配点構成・記述量・換算方法を見直し。不利になりやすい平均偏差方式にも、一部素点加味など工夫を実施。

英語・サステナビリティ・ITを含む出題

IFRSの導入企業数増加、英語開示義務化、海外グループ監査の要請を背景に、英語資料読解を短答式に試験導入(サンプル問題事前公開)。

サステナビリティ開示・保証やIT統制についても、財務・監査・企業法科目での出題を検討。実務補習段階で学ぶIT統制内容を踏まえ、学習範囲の明確化が鍵です。

おわりに

今回のバランス調整は、制度全体に影響する大規模見直しであり、複数年の段階的実施が前提です。試験委員・受験予備校・受験生等は、早期公表される変更内容とスケジュール(令和8年〜9年)を踏まえ、準備が求められます

また、公認会計士の資質向上には試験制度だけでなく、実務補習、研修、CPDなど一連の育成プロセスとの連携が不可欠です。

今後も継続的に制度運営・負担軽減・公平性の改善が進む見通しですので、受験生は制度変更の動向に注視しつつ、学習計画を柔軟に再設計することを強くお勧めします。

【受験生向け対策まとめ】

項目対策
短答式攻略計算問題も網羅的に演習、時間配分訓練
論文式準備記述力・論述構成力強化、過去問で記述量確保
選択科目選定自分の得意分野で公平に評価される科目選択を想定
英語力対応英語読解演習・サンプル問題確認
サステ・IT知識最新開示基準・IT統制の知識をテキストで補強
システム対応CBTやデジタル採点への対応は追って準備

本制度改正は受験環境を整え、公認会計士としての実務能力の担保を目的としたものです。最新情報を常にチェックし、アップデートされた出題形式や配点比率に速やかに対応できる準備が、合格への近道となります。

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